第41話 もしも『 』があるのなら

もし、この世界に『愛』があったなら、


もし、この世界に『救い』があったなら、


もしもあの時、違うことを願っていたのなら、今の結果は変わっていたのかもしれない。


後悔の影は、より大きく、より強い『想い』となって、心の奥底、より冷たい場所で儚げに膨らむ。


しかし、脆弱なその『心臓』は硝子細工のように脆く、粉々になって散っていくという避けられない運命を、見えない糸で縛り付ける。


胸の内で咲く『毒』の華に侵された狭義心のように、いつかその身さえも、抑えきれない怒りによって侵食されていくのだろう。


鎮まることのない胸のざわめきが、留まることのない力の奔流が、己の『想い』さえも呑み込んで進むべき道の先を鮮烈に照らす。


こいねがう『奇跡』。


ただ祈ることしか出来なかった『弱者』の姿は、もう消えた。


ただ己の望む『未来』を掴むためだけに、この身は永遠に進み続ける。


胸に巣食う1寸の迷いを振り払い、目の前の扉に手を掛けて押し開く。


視界の隅でこちらを見つめる『黒猫』の存在を確かめたのなら、それはまだ、この体が自由に動くことの証明だ。


決して妥協は許されない。


この世界に『愛』も『救い』もないのなら、皆に等しく『希望』を与えよう。


力に溺れた愚かな罪人を罰し、支配された憐れな弱者へと手を差し伸べよう。


……そうすればきっと、今よりもっと良いと思えるような、そんな『世界』が、そこにあるはずだから。








































































































































































































































































































































































だけどもし……もしも、『願い』が叶うのなら、


どうか……

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