第86話 就活軍団結成!
その後私の魔法により美少女、美女による美人軍団が結成された。
……いやっどうせガワだけのコイツらにそんな名前は不釣り合いだ。就活軍団に名を改めよう。
そして私率いる就活軍団はダンジョンへと足を踏み入れた。
「うぉおお! ダンジョンのモンスター共だ、ぶっ倒してしまえ!」
「俺達の実力を見せつけるんだ!」
「テンション高いですね~」
「ダンジョンで起こった出来事は大抵ダンジョンマスターの耳に入る。活躍すれば就職の可能性が広がるからみんなやる気だ」
女性に化けた就活軍団が魔法やら身体の一部をモンスターに戻しながらダンジョンのモンスターをボコボコにしている。自分達がこのダンジョンに就職したらソイツらとも顔を合わせる事になるとか考えないのだろうか?
日本で考えれば面接目的に来た連中が集団で会社ビル内を暴れ回ってるのに近い行為なのだが……これが就職に有利になると言うのだからやはりここは異世界なんだよな。
前世の記憶では推し量れない事が続出してますな、まあ後ろを適当に歩いて行くだけでダンジョンを進めるので助かるのだけど。
そしてずんずんとダンジョンを進んでいると、何やら妙な気配を感じた。
何者かがこちらに近づいて来る。
「皆さん、上です!」
「上!? ヤッヤツは!」
隣の元ヌメヌメ、今はワカメみたいなロングヘアーをした陰キャ系美人が驚きの表情を浮かべる。
私達の前に現れたのは女性だった、空中に浮く黄色の魔法陣の上に立っていて空に浮いていた。
服装は黄色のレディスーツ姿である、そして足の膝まで届く程長いピンク色のロングヘアーと黄色の瞳の美女だった。
「まさかダンジョンで用意したアイテム以外の力であの結界を超えてくるとは。余程の魔法の使い手がいるみたいですね!」
その美女を発見した就活軍団は声を上げる。
「あの女は、俺達を不必要なゴミだと言ったクソ女だ!」
「引きずりおろせ!」
「簀巻きにしてやる!」
「海に投げ捨ててやるぞぉおーーーっ!」
就活軍団の言葉を聞いて先方はこちらの素性に心当たりがあったのか、その整った顔立ちを邪悪に歪める。
「あらん? まさかあなた方はしばらく前に私にボロ雑巾にされて海に捨てられた、勘違いして海の向こうから来た阿呆な方達ですか~?」
「なっなんだとぉお!?」
「このアマ!」
「まさか女性に化けてまで潜り込んでくるとは、全く以てプライドも実力も品性も常識もない男性達は困りますよ、フゥ~~~ッ」
ものすっごい溜め息ついたな。就活軍団が鼻息荒く殺気を全快にしてるよ。袋叩きとかにされたりしないのかね、流石に美女がモンスターにボコボコにされたりしたら止めないとマズイと思う私だ。
「魔法で攻撃できるだけヤツは全力でいけ!」
「「「分かった!」」」
「他にも遠距離攻撃が出来るヤツは頼む、あれの厄介さは分かっているな!? 全力でしばき倒すぞ!」
「「「「「オォーーーーッ!」」」」」
就活軍団から炎の矢だったり氷の塊が美女に飛んでいく。しかし美女は魔法でバリアを張ったらしくその攻撃は届かなかった。
就活軍団はならばと海産物的な物に身体の一部を変化させて攻撃しだした、私の近くにいたワカメっぽい黒髪陰キャ美人もその髪の毛をむわ~~と伸ばして美女を捉えようとしている。
端から見てると不毛な争いですな。
「全く、そもそもこのダンジョンは男性と言う時点でお断りしてると何度も言ったはずですよね? な~んでそれを理解出来ないんですか、まさか言葉が分からないまでにレベルの低い知能を持つ方々なんですか~?」
「うぉおおおっ!」
「ぶっ飛ばしてる!」
「簀巻きだ簀巻き!」
………暇なのでラジオ体操でもしようかな、あれって第一は……あれ? 第一も第二もその内容をバラバラにしか覚えていない自分を発見、これはもしかしてヤバくないか?
転生云々以前に人間だった頃に全く興味の無かった事のうろ覚え感が洒落にならないかもしんない。
「くっちょこまかとすばしっこい魔法陣だ!」
「私の魔法コントロールが優秀ですみませんね~あっそちらは攻撃がおざなり過ぎてあくびが出てしまいますよ~?」
ラジオ体操~~いっちに、いっちに…。
「これで終わりです、今度はダンジョンから数十キロは沖に飛ばしてあげしょうか、ハァアッ!」
「………」
アッアレは不味いな、ダンジョン特権だ。
ダンジョンを運営してるモンスター側にはダンジョンないでのみ使える特殊能力を使えるヤツがいる。
ソイツら言わばダンジョンの幹部、このピンク髪の美女は幹部一人なんだろう。
そんな美女が不可視の力を放つ、恐らくこちらをまとめてダンジョン外に強制転送する魔法かなにかだろう。
こちらの人数を考えると魔力的にいくらダンジョンの幹部でも無理な行いだ。そこは流石ダンジョン特権ってとこだろうな。
しかし黙って転送されるとか嫌なので私も魔力を放ってその不可視の力にぶつける。
両者はぶつかると激しい衝撃が周囲に伝播する、そして不可視の力は消滅した。
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