第83話 若返りのポーション
「そしてそのパーティーと共に向かった島の奥にはなんと! 様々な格好をした女性冒険者とベースキャンプ、そしてダンジョンがあったのですん!」
「成る程、新たなダンジョンですか…」
私は神妙な顔をしながら飛行艇に一度帰還したチワや他のパーティーメンバーの話を聞いていた。
人の口から冒険譚を聞くのも悪くない。まあこの島自体がダンジョンなのだが、そこら辺は言う必要もないので言わない。
なんでもあの後無事にモンスターを倒したらチワパーティーは助けた女冒険者パーティーと共に島の奥を目指したそうだ、そして何度か島のモンスターとの戦闘をした先には幾つものテントが並ぶ場所を見つけたらしい。
そこは先にこの島へと繰り出した女冒険者達が作ったベースキャンプ地だったそうだ。
当然中には何十人もの女冒険者がいたらしい、しかしチワ達の目を引いたのはその格好だった。
……なんでもナース服とかチャイナドレス、それにメイド服やビキニアーマーみたいなハッキリ言ってコスプレみたいな格好をしている女冒険者が沢山いたらしい。
その格好はなんだと聞くとそのベースキャンプから行けるダンジョンでゲット出来る様々なお宝、それらがコスプレ衣装なのだそうだ。
見た目はふざけていても魔法が付与されておりその防御力や装備した者の能力を飛躍的に向上させたりする優秀な装備らしいので女冒険者達はこぞって着替えていたらしい。
なにそれ、そんなのありなの? それなら私もエロ装備に強力な魔法を付与して、それらの装備をタダ同然で美人な女性冒険者に貸し出す女性限定の冒険者ギルドとか立ち上げたりしようかな。
そんな欲望はおくびにも出さずチワの話す冒険譚に相槌を打つ私だ。
「そして遂にチワ達はそのダンジョンに挑んだのですん!」
「……成る程」
話を聞く限りはまだ彼女達は冒険に行き詰まっている感じもないし、まだまだドラゴンライダーの助力は不必要らしい。ならばまだ暫くはこの島の結界の外をブラブラするとしますか。
翌日。ベースキャンプ、そして島のダンジョンを目指して再びチワパーティーは冒険に旅立つ、それを見送った後私は飛行艇の掃除をしていた。
一人じゃ時間がかかるので魔法でパッパと終わらせたよ。
そして飛行艇の甲坂にてのんびりしている、エフェメットは映画で見るチワパーティーの大冒険を今日も鑑賞しているらしい、また私もそれを観賞しに行こうかと考えていたその時。
私の飛行艇に接近する数人の女冒険者の気配がした。一体なんなんだろうか?
「……行ってみるか」
どうせ暇なので会ってみよう、私は魔法で転移した。
そして転移した先は飛行艇を下りて数十メートル程離れた地点、草木は生えてるもののそこまで視界は悪くない場所である。
そこに突っ立っていると接近してた中の一人が見えてきた、その一人は知っている相手でブレシアだった。
「よっアーク、アタシの事を覚えてるかい?」
「ブレシアさんでしょ、少し前にあったばかりなのだから覚えますよ」
接近する女冒険者の中にブレシアがいるのは知っていた、別に顔を隠したりとかしてる訳でもなかったしな。
「ブレシアさん、もしかしてチワさん達に何か用事が? 実は今朝早くに皆さん冒険に出掛けられましたから、飛行艇には私ともう一人お留守番がいるだけなのですが…」
「いやっ別にあの子達に用事がある訳じゃないのさ、アタシが用があるのはアンタだよ」
「私に?」
「……ああっなんでもアンタ、若返りの秘薬を手に入れたらしいじゃないか、海岸であった妙な女が教えてくれてね」
あのお喋りさんめ。やっぱりあのお宝をゲットした冒険者に何かやらせるつもりなのか?
人に働かされるのが大嫌いな私だ、お宝の奪い合いなんてナンセンスな事は御免なのだが。
「秘薬と言えるかは分かりませんよ? せいぜい数年前の姿になるだけの代物です」
「アタシらからすれば十分にお宝だよ、それで物は相談何だがそれを売ってはくれないかい?」
「ブレシアさんが若返りたいんですか?」
「そりゃ女だからね、そう言う願望はある。けど何より島に送り出してる部下の事が気がかりでね、リーダーのアタシが先頭に立てないのが情けないのさ。それがあればまたアイツらと共に冒険が出来る」
ほうほうっそう言う理由か、魔法で確認するがとくに嘘を言ってもいないしそれなら別に…。
私はアイテムボックスから『若返りのポーション』を取り出そうとしたその時。一人の女冒険者が走ってきた。
「たっ大変です! 沿岸部に停めてあるウチ達や他の冒険者達の船にモンスターが!」
「なんだって!?」
おうっこれは何やら騒動の予感ですな。
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