第82話 合格してこのアイテム?
ガレット達が全滅すると鬼の傍にダストシュートが現れた。それにガレット達をポイポイ捨てていく鬼である。
「あの冒険者達は島の砂浜に漂流する事になる」
「あそこにですか」
あの美しい砂浜にあのボロ雑巾達が流れ着くのか、かなり景観を汚しそうで辛いな。
ガレット達自身はまあ命があるだけ感謝しなさいとしか言えませんな、ざまぁないね。
「…それじゃあ行く」
「何で彼らの負ける所を見せたんですか?」
「何となく、アイツらがぶっ飛ばされるのを見てみたかったから」
「…………そうですか」
さてっやられたモンスター冒険者達の事は置いといて、私達は先に進んだ。
一応魔法で他のモンスターとかいないかは確認する、本当にいなかった。
少し安心した、カナンの後ろを歩きながら進んでいくと、私達は両開きの門がある場所へと辿り着いた。
「この中にダンジョンの宝が?」
「ええっそれがあればダンジョンの結界を越える事が可能になる」
成る程、しかしダンジョンのお宝か。
やはりそう言うのはいつでもドラゴンの心をワクワクさせてくれるな、一体どんなお宝なのだろうか?
門を押して開く、中にはモンスターもいない。
そして部屋の奥には金色の装飾をされた赤い宝箱があった、これには高級なアイテムとか装備が入ってまっせと言いたげな、とても自己主張が激しい宝箱であるり
部屋に鎮座する宝箱へと向かう、無論魔法で変な呪いとか魔法がかけてないかを確認するが本当に何もなかった。
宝箱を開ける。中には赤い液体が入ったポーションと黄金のティアラが入っていた。
私はそれらのお宝が何なのか直ぐに分かった、これでもドラゴンなのでね、お宝への知識と審美眼はそれなりなのだ。
ポーションは『若返りのポーション』だな、飲めば五歳くらい若返るポーションだ。人間には結構人気のお宝だな。
黄金のティアラ、コイツは『プリンセスティアラ』である……。
これ碌でもないアイテムだぞ、何しろ身につけたヤツはティアラの魔力で強制的に年齢は十代前半の美少女に変身してしまうって魔法のアイテムだ。
成る程ね、これを身に付ければ確かに男でも誰でも島の結界を越えられるのかも知れない。何しろ身につけたヤツはみんな美少女になってしまうんだから。
けど悲しいかな、私がドラゴンから人間に変身してる魔法の方がこの『プリンセスティアラ』に施された魔法よりも遥かに高度な魔法を使っている。
正直このティアラが有効なら私は自らの魔法で美少女に変身すれば結界を越えられるって事である、つまりはここまで来た意味が……。
「……どうかしたの?」
「………………いえ、なんでもありませんよ」
なんか釈然としないものを抱えながらも答える私だ、まあ世の中こんなもんだよな。
ファンタジーな世界でもこう言う無駄な事ってあるよね、とりあえずこの『プリンセスティアラ』はアイテムボックスにでも捨て…入れておこう。
「さてっ一つ質問をしても良いですか? 私がここの宝を手に入れたらカナンさんは別の仕事があるんですか?」
ダンジョンの仕事は多岐に渡る、単純にダンジョンモンスターとして冒険者を撃退する肉体労働や発動したトラップをまた仕掛け直すとか、他にも清掃から怪我をしたヤツへの魔法での治療に裏方としての事務作業とかもある。
ほらっダンジョンモンスターに給料やボーナスを払うには事務員とか税務関係のヤツがいるからね、その辺りもしっかりしてないと今どきダンジョンはやっていけないのだ、一度入ったら死ぬまでそこにいて当たり前なんて言う終身雇用が大前提とかさ、働くモンスター側だって鼻で笑う話である。
どこも働き手を繋ぎ止めておくには出すもんと労働環境の整備を姿勢で見せる事が大事なのだ、まあ経営者になんてなった事もない私が言えた話じゃないんだけどね。
「私は暫くあの海岸で他の冒険者相手に同じような事を繰り返す、ダンジョンマスターとしては男の冒険者に用はないらしいから本当はみんな帰ってほしいみたいよ?」
みたいよじゃないよ。本当に女性限定公開されてるダンジョンだな、ダンジョンにそんな来る客を限定する資格とかないだろう女性限定スパか何かなの?
「まあそのどうしょうもないダンジョンマスターの件はともかく、それならまた暇な時にお茶でも如何ですか? あれ以外にも様々お菓子もありますから」
「……フフッそれは楽しみ」
とりあえず結界を超える方法は分かった。
後はチワパーティーにこのドラゴンライダーの力が必要なタイミングを見計らいながら様子見である。
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