第13話 渇望
仕事を終え、葵の部屋へ来た光明は手を付けていない夕食を見てため息をついた。
葵は、窓辺に立って外を見ていた。
「昼食も食べなかったそうだな?」
「・・・・・。」
「あいつの事はもう忘れろ。二度と会うことはないんだ。」
(忘れる?司さんの事を・・・・。そんなの、出来るわけない。)
俯く葵を後ろから抱き締める。
(こんなに小さかったか?あの頃は、紗羅がいつも俺を抱き締めてくれていたからな・・・。)
光明の心に懐かしさが甦った。
(くそっ!俺は小さい時から一緒に居たんだ。ずっと想っていた。あんな数年一緒に居た奴に奪われてたまるか!)
「俺が忘れさせてやる。」
「んっ・・・。」
突然唇を塞がれたその時何かを飲まさせられた。
光明を押し返し
「なにを・・?」
「あぁ、媚薬だよ。紗羅の為に俺が調合した特別な物だ。」
「びやく・・?」
手首を掴まれ窓に押し付けられる。
光明の瞳が妖しい光を帯びた。
「んっ・・はぁ・・・やめて」
絶え間なく続けられる深い口づけの中、ようやく訴えられた。
「いい
瞳は潤み、頬は紅潮し、息遣いも荒くなっている。
葵を抱き上げベッドへ寝かせると、上から覆い被さる。
「や・めて・・」
光明の胸を押し返そうとするが力が入らない。
葵の小さな抵抗は、あっけなく光明にねじ伏せられる。
「んっ・・・はっ・・どうして?こんな・・ひどいこと・・」
「酷い?最初に俺に酷い事をしたのは紗羅だろ!!」
光明は興奮して言った。
「何をいって・・?」
「っ・・・。」
乱暴にシャツのボタンを外すと、首筋に顔を埋めた。
「あっ・・だめっ」
「これから毎日抱いてやる。俺を受け入れるまでな。」
耳元で囁かれて、身体がビクッとする。
(身体が熱い。)
「つっ・・いや・・さわらな・・いでっ」
「嫌じゃないだろ?」
首筋から胸元へ、赤い印を付けていく。
シャツを脱がし下着を剥ぎ取ると胸先の膨らみを軽く噛む。
「あぁっ・・やっ・・んんっ」
身体が否応なく反応してしまう。
光明の手が太ももの内側をなぞり一番敏感な所に触れる。
電気が走ったように身体が仰け反った。
「あぁぁぁ~~~んっーー。」
「はっ、身体は正直だな?」
耳元で囁かれ首筋を甘く吸われる。
「いや・・!ちがう・・・。」
「違わないだろ?もっと俺を感じろ。まだまだだ。」
口づけをし、弱いところを攻められ続け何度目かの絶頂が葵を襲っていた。
与え続けられる快感に気がおかしくなりそうだった。
「はぁ・・・も・・やめて。」
「あの薬を飲んでまだ正気でいらるれのはさすがだな?だけど俺もそろそろ限界だ。」
そういうと、柔らかい肌に腰を深くしずめて一番深い所でつながる。
「あぁぁ、、んっっっ~~~」
「はっ・・きつっ。気持ちいいか?」
「やっ・・。」
「素直になれっ。身体はこんなにも俺を求めてるぞ?」
腰を揺さぶると、甘い声がよりいっそう甘くなる。
「紗羅っ、愛してる。俺を見ろ!俺だけを!!」
「っっーーーはっ・・だめっっ~~」
葵のナカに思いを注ぎ込んだ。
「気を失ったか・・・」
涙を拭って、葵に口づける。
ずっと欲しかった女がやっと今腕の中に居る。
今はそれだけで十分だ。
長い間、渇いていた心が潤った気がして優しく抱き締めた。
小さな男の子が泣いている。
(あなたはだれ?)
葵が近付くと男の子は泣きながら抱き付いてきた。
「さら!」
(この子も私を紗羅って呼ぶの?)
その男の子は少年になり青年になっていった。
「光明!!」
私が呼ぶとその青年が笑顔で近付いてきて抱き締められる。
「紗羅いつまでも一緒に居よう?ずっと、ずっと・・」
(私はこの人の事こんなに前から知ってた?)
ハッと目が覚め起き上がる。
(夢?・・・じゃない。あれは・・・)
思い出せそうで思い出せないでいると、後ろから手が伸びてきて引き倒される。
「わっ!」
「まだ、寝てろ。」
そう言って抱き締めてきた。
「・・・・。」
光明の整った顔をジッと見る。
(昨日酷い事されたのに・・・。何故だろう、この温もりがとても懐かしい。私はこの人にどんな酷い事をしたんだろう?あんなに辛そうな顔をしてた・・・。)
もう一度、光明の顔を見るが何も思い出せなかった。
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