第2話 朝ご飯もしっかりと

 朝はコーヒーしか飲まないの、なんてことは言わない。

 5枚切りの食パンにサラダとハムエッグを挟みサンドイッチにする。

 卵は半熟状態が一番いい。

 ケチャップとマヨネーズを同量、マスタードを少々。

 立ち上がり、冷蔵庫からスライスチーズを取り出す。


 朝刊から目を離した旦那、

「朝からよう食うな」

「朝ご飯が一番美味しいねん」

「このあいだ晩ご飯のときにもそう言うてへんかったか」

 聞こえなかったことにして、2杯目のコーヒーを作りに立ち上がった。


 コーヒーは大手メーカーのバリスタとかいう道具にセットして使うものなのだが、               そのままインスタントコーヒーとして煎れてみたら香りも良く一番のお気に入り。

 夏は牛乳に入れて、溶けずに残ったコーヒーの粒がほろ苦く、それもまたええ。


 朝ご飯を食べられなかったナオの分も、サンドイッチにして冷蔵庫に入れておいたろ。学校から帰ったら、すぐに何かを食べたがるねん。

 2杯目のコーヒーを楽しんでいたら、もうこんな時間。


 油汚れを落とした食器を食洗機へ。

 洗濯乾燥機にタオルや白いシャツなどを放り込み、洗い、乾燥のスイッチを入れる。旦那はナオの使ったタオルも一緒に入れておいてくれた。よし、よし。

 化粧をするのももどかしく、すぐ近所にある物流倉庫へ3時間のパートに向かう。

 

「おはようさん。あんた今朝も元気よろしいな」

「はい、お陰さんで」

 隣の80いくつになる山田さんのおばあちゃんに見送られる。

 ナオを起こす声が聞こえたのかもしれへん。

 これやったら隣町にまで聞こえているというのも、冗談やないかもしれへん。


 50人ほどのパートのおばちゃんが仕事をする中、ヒロセさんは今日も機嫌が悪い。ヒロセさんひとりだけ歳が離れていて、おばちゃんたちから浮いた存在。

 自分の息子ほどの若い社員を捕まえ、ぶち切れている。


 聞こえてくる話によると、洗剤とかの重たい商品、嵩のあるトイレットペーパーの担当が気に入らんと訴えている。腰が痛いから担当を変えて欲しいと言うのも聞こえてくる。

 入社仕立ての男性社員はやり込められてしまっていて、でも、とか、あの、という声だけが聞こえてくる。


 二人のやり取りをBGMに作業終了時間になった。

 ヒロセさんの持ち場だけ商品が山積みになったままで、問題も解決していないようだ。とばっちりを受け、残業を言い渡されたらかなわん。とっとと帰ろう。


 急ぎ足で自宅に戻ろうとすると声をかけられた。

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