💙オカンの日常生活
オカン🐷
第1話 今朝も元気
今朝も元気に起きだした。
私、低血圧で、朝は苦手なんてことは絶対口にしない。
むしろ血圧はやや上がり気味のほうが調子いい。
だし巻き卵に唐揚げ、ほうれん草のお浸し。これにお豆さんでも入れといたらええやろ。彩りにミニトマトを入れたら、ぬるうなったトマトは食われへんとぬかす。
殺菌作用があるというブロッコリーも嫌がらせみたいに毎回入れんといてときた。
今度、弁当のおかずに文句を言うてきたら、もう高校生なんやから自分で作りと言ってやろうと手ぐすね引いて待っているのやけど、敵もさるものなかなかそのチャンスは訪れそうもない。
「あっ、もうこんな時間」
エプロンで手を拭きながら、居間の柱時計を見上げた。
階段の下から2階の娘の部屋に向かい、あらん限りの大声を張り上げる。
「ナオー、起きいや、遅刻するでー」
のっそりと起きだしてきた旦那が、タオルで眼鏡を拭きながら言った。
「今朝も元気よろしいな」
「ああ、またタオル、そのへんにほっておかんと洗濯機に入れといて」
「あとで入れようと思うたんやがな」
旦那は狭い食卓の上で朝刊を拡げ、サラダの器を口元へ持っていき掻き込む。
パジャマの上にコーンがポロポロとこぼれ落ちるのにもお構いなし。
あんたパジャマに食べさせてどないするねん。
階段を駆け下りる足音も荒々しく、
「オカン、どうしてもっと早う起こしてくれんかってん」
制服に着替えた娘は洗面所で顔を洗うと、使ったタオルを卓袱台の上に置いた。
「起こしたやろ、隣町のケースケも起きるくらいの大声で起こしたがな」
「もう、恥ずかしいからやめてんか。部屋に来て起こしてくれてもええやん」
「嫌や、階段上がるのしんどいやん」
「今朝も食べられへんかった」
娘はブツクサ言いながら冷蔵庫の扉を開け、ペットボトルを取り出すと、
「行ってきまーす」
「弁当、忘れてるで」
娘の手に握りしめられているペットボトルを見て、この子は午前から午後の紅茶を飲みおるわ、フフッ。
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