第5話 捨子転生~えっ? 赤子にサバイバルですか?~

 どなどな、どーな、ど~な~♪


 えーと、私は今、あなたの心に話けています。

 あなたですよ、あ・な・た!


 その無精髭ぶしょうひげ、とってもカッコイイですよね! 

 とても、お屋敷に出入り出来る恰好かっこうに見えない所が、最高です!


 え? 忌み子にキラキラした目で見られて気持ち悪い?

 やだな~、忌み子なんて単なるメラニン色素の関係で、迷信ですよ。 迷信。


 馬をる姿も、格好良かっこいいです。 でもチョッと速くないですか?

 ほう、ここら辺では魔獣の目撃証言が多いので、早くに抜けたい?

 なる程、なる程。


 確かに『鬱蒼うっそう』と言った言葉がシックリくる風景ですし、魔素も濃い様な気がします。


 しかし、そういった事態におちいる人は、日頃の行いが悪い様な気がするのです。

 例えば、魔の森に赤子を捨てる、悪い人とか。


 だから、止めませんか? こんなこと。


 いくらもらったかは知りませんが、死んじゃったら元も子もないじゃないですか。


 ねっ、だからこのまま回れ右をして、帰って見ませんか?


 それに、さっきから「こんな仕事、受けるんじゃなかった」って言ってるじゃないですか。


 それって、周囲から感じる、この濃密な殺気のことを言ってるんですよね。


「もしもの場合は、このガキをおとりに使って」ですか? でも考えて見てください。


 徐々に迫ってくる気配、1つや2つじゃないですよね。

 それに、如何にも『お腹減なかへってます』って感じの息遣いきづかい。


 私は思うんです。


 このままでは、2人とも助からないと。


 ですからココは、協力しませんか?


 へっ? ちょっ、何してるんですか?

 カゴに入った私を投げ込んだとしても、あなたも助かりませんよ! だって、私では空腹を満たせる量が無いんですから!


 いやっ、ちょっ、ヤメっ!

 だから、投げようとすんなー!!


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 いや~、ドラゴンの因子、マジぱねーわ。


 アレだね。 人間、死ぬ気になったら、何とかなるっていう。


 ここで紹介したいのは、魔力からドラゴンの威圧を再現する能力。

 周囲の魔物が引くのなんのって。


 そこで、飛行能力を再現して、そのままトンズラ。


 男の方は…まあ、美味おいしくいただかれましたけど、何か?


 ドラゴンの飛行能力って、重力制御だったのね。 ホント、勉強になったよ。


 重量の割に、あの小さい羽でどうして飛行できるのかって謎も解決、やったね。


 でも、本当にヤバいのは、アカシック先生だったわ。


 知らなければ知りようがないとは言え、ネット検索の某先生並に博識なんだもん。


 もっとも、内容自体は管理されていないビッグデータって感じだし、当然、AIによる最適化も行われていない。


 前世も含めて世界記録かって位に頭を高速回転させて、何とかお目当ての情報をゲットして、今に至る。


 魔力をガンガン詰め込んで、オーバークロックする感じって言えば良いのかな?


 水冷式ならぬ血冷式で脳を冷やして、呼吸による気化熱で冷却して乗り切った。


 まあ今は、過度の脱水症状で死にそうになっていますし、今更、水魔法を習得する気力も体力も存在しませんけどね。


 一応は赤子特有の欲求として、現在に至る途中で、頻繁ひんぱんに睡眠とか取ってますが。


 いや逆か。


 現在位置が分からないから、アカシック先生の出番はないし、何かモヤってて見通しもすこぶる悪い。


 魔素が濃いのも、私的には吸収できるから最悪とは言えないけれど、魔物とかも多そうなんだよね。


 あーっ、喉乾いた、お腹空いたーっ!!


 あ゛ん? 川や果物を探せだと?

 森の中に、そんなに都合良く、あるわけねーだろ!!


 ん? 私は誰に向かって話しているんだ?


 あっ、マジでやばいかも?


「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。 森の中に妙な気配があるから見に着てみたが、これは拾い物なのじゃ」


 えっ、幻聴なの? 貴族の娘に転生して即ゲームーバーって、ひどくないですか? 女神様。


「うむ。 これはマジでヤバそうな状態なのじゃ」


 えーと、人生最期の幻覚が、ロリババアな件について。


 はぁ、最悪だわ。




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