1-3:ぞんぞんしてきた。
酒に酔うたる足取りとは
何とも、
「
声を荒げる
「ァァァァぁぁぁぁああああ
腹の奥底に迄
身の毛が
直後、鼻を突く腐臭
其の声、其の臭い、脳天に突き抜ける。本能を直撃する
戦場でも見た事がない
見た事がないにも関わらず其れと分かる、步軀、と。
「
二人の前に一歩踏み出す
「お二人共、下がっていて下さい。
「……な、なにを申すかッ!
「
「!? あ、遇い方……」
陽之介が
大刀をすらりと抜き打ち
――遠い!
一体、何を
「いざ
陽之介、大上段に振り
ぐるり、と一周、步軀の周りを廻り――
程なく、
――ぼどり、と首落つ。
首と胴とに分かたれた其れは間もなく動きを止め、力無く崩れ落ちる。不気味な呻き声は
一瞬の静寂の中、陽之介は大きく
腰に吊した深く濁った暗い
掴み上げ蓋を開け、
払いきれていない步軀の
「各々方、後程お
夕刻――
今は只の
燃え上がる
――暫しの沈黙。
「今から步軀――
「ぞ、存未???」
――存未、
生きているとも死んでいるともつかない中途半端な状態。言葉としての意味合いではなく、正に有るが儘としての“
異国の神に
古来、
神話には
使われ方は違うものの、古神道にある
海を越えた
存未が如何なる手段を
但し、
まず、
生き死にの判断は、意識の有無で判別出来る。とは云え、
彼奴等にとっての死、
つまり存未は、肉體の腐敗が進み、其の瓦解が進行すれば放っておいても動けなくなるので、本質的な脅威とはなり得ない。
退治、つまり、動きを止めるのに最も効果的なのが首を斬り落とす方法。同様に、頭部を粉砕しても良い。
何がどう作用しているのかは皆目見当もつかないが、間違いなく絶命する。とは云え、骨自体の生き死に同様、動かない・動けない状態が死亡なのか、単なる休眠状態なのか迄は分からない。
故に荼毘に付す、つまり、炎で焼くのが良い。体液が完全に消え失せる程、カラカラに乾いた状態になれば問題ない。
問題があるとすれば、感染。
存未が呪術由来か病由来かは分からないものの、間違いないのは“存未
この毒素は咬まれるのは勿論、引っ
感染すれば軈て他者も存未となる。
患部を焼くか削ぎ落とすか適切な処置を施すかして存未毒が全身に回る前に未然に防ぐ必要がある。存未毒が回り、
免疫力が高ければ、或いは助かるのかも知れないが、そのような事例を見た事がないので期待しない方が良い。
故郷の、正しくは
陽女しか生成出来ない為、是がない時は
先程、鋒を消毒したものは
存未を斬った刀に附着した
距離を取って戦うのは存未毒から身を守る為だとも。
――成る程。
理に適っている――
武家御所へと戻る日の落ちた
只の病人。否、重篤な病に伏す者が夜驚症や夢遊病にも似た
併し、目の当たりにして、其れが確かに存在し、畏怖を伴う対象である事を確信し、具体的な方策を
只、両人は互いに
陽之介による步軀――存未の講釈は、一々
凡そ、語り聞かせてくれた内容は事実であろうし、有りの儘だろう。
だが、対処への詳細・具体性に対し、事態を直視するに至る起因・要因が見受けられない。
道理は通るが芯を食っていない、そんな違和感。
解決策に至る道筋がすっかりと抜け落ちている、そんな奇妙な空白、閒、闇。
彼は、経験則、と云いはしたが、まるで別の何者かによる受け売りのような稀薄さ、薄弱さ。
張りぼてにも似た空虚さ。
意識とやらを魂に置き換えれば、正に其れ先程聞いた存未
――考え過ぎか。
ありもしない噂に付き合わされ、形だけの
恐らくは、
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