1-2:そうだ、京都、行こう。
―――――
「どうであった――良き者はおったか?」
義輝がそう問う相手は
始め、義輝自らの手で
そこで新陰流の達人である弥四郎が剣分役を買って出た。
「流石は
「うむ?」
「――
「ほほう。詳しく申せ」
「
――蓮華、
そう、
蓮華
妻を、いや、娘か。幼さは残るが実に美しい
聞いた事もない流派を名乗っていた。
兎も角、正対した時点で相手の力量は推し量れるもの。腕相撲にて
討ち合ってはっきりしたのは、
恐らく、
初めの一本は某が取った。二本目は相討ち、最後は取られた。一勝一敗一分、形の上では。
誠、格別の腕也!
併し
是が真剣勝負であれば初めの一本で勝敗は
つまり、始まりの一刀にて斬り捨すて終わり。
吾が刀流
弥四郎の腕は余が一番分かっておる。百の足軽を
何れ、蓮華某とは手合わせしてはみたいものの――
――
「小袖御樣末衆は
弥四郎、
「承知
―――――
右京洛外南西に歩を進める三人、いや、四人。
先を行くのが
始め
続いて
最後尾を行くは男女。男の方が蓮華陽之介、女は
武名を上げる訳でも流派を
他の奧城淨方と行動を共にしているのは頭人、疋田弥四郎による指示。
火急の際、独りではどうにもならない為、三人一組として立ち回るよう申しつけられた。
今此処にいるのは四人だが、陽女と云う
任務に連れを連れて廻ると云うのも
二人がこう思うのも
何せこの任務、步軀の
この頃、步軀への一般的な認識は、
実に
可哀想ではあるが人に伝染するが故、是を斬り捨て燃やさねばならない、其れが公方様からの命。
間もなく、
見回りは洛中洛外と限られている。これ以上進んでも田畑が広がるだけで、間もなく山野に通ずる。
人の
今の京は長らく続いた戦乱の為、荒廃している。
荒廃していると聞いて勘違いしてはいけない。
武名を上げようと
三好氏と和睦により公方様の入京が
では、荒廃とは?
此処で云う荒廃とは、都の拡がり。
人々は内へ内へと流れる。
洛中に足が向かい、其れは住まう者達にとっても同じ。
洛外の端々から人波は中央に流れ、京の周辺から集落が消える。
右京は其れが顕著で、北西・南西から次第に人々が姿を消す。洛中の人口密度だけが高まり、洛外は閑散とする。
そう、人群れの絶対数は変わっていない。只、洛中とその近隣に集中し、その活気に
息つく
「扨、戻るとするか、皆の衆」
「そうですね、日のある内に武家御所に戻りたいものですね。折角の昼番ですから」
「――お待ち下さい、皆様」
「どうしたのだ、陽之介殿」
「
――陽之介の指差す方角。
まさか、――
――步軀、か!?
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