第15話

酒を飲んでいないときの自分が嫌いだ。

天邪鬼で奇天烈で八方美人で卑屈で怒りっぽい。

酒を飲んでいるときの自分が嫌いだ。

一人ぼっちで狭量で忙しなくて崩れ落ちそうで。

酒に飲まれている時の自分は好きだ。

素直で死にたがりで明るくて無謀で悲観的。


いずれにせよまともじゃない自分を認められなくて今日もまた酒を飲む。禁酒のルールがばがばで飲みたくなったらすぐ手を伸ばす。

これだからダメなんだぼくは。

仕事のできる人だけど言い方のきつい人と一緒になる度に、誰にたいしてでもなく自分は仕事もできない卑屈な人間ですごめんなさいと謝って。

嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ


でも、生きるしかないんだ。借りを返すまで

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