第2話

お酒ってのは幸せと共にある。


お酒を楽しむために飲んだのはいつ頃だったか。もうずっとわからないままでいる。

何かを達成した喜びを表現するよりも何かを達成できなかった無念か、何もできなかった苦悩を表すために飲んでいる。お酒は幸せと共にある。


身体がバラバラになるような苦痛を感じて生きている。酒を飲んでいないと死にそうな苦痛が体を襲う。苦痛が故に酒を飲むのか。酒を飲むために身体が苦痛を示すのか。どちらでもいい。お酒は幸せと共にある。


1人で飲んでいると自然と涙が流れる。悲しいわけでも苦しいわけでもなくただ涙が流れていく。つらい気持ちを隠しているわけでもなく、誰かと話したいと強く願っているわけでもないが、ただ涙が流れる。これを虚しいというのだろうか。お酒は幸せと共にある。


暗い気持ちを吐き出すために酒を飲み、翌日には昨日よりも暗く黒い闇に飲まれる。それを忘れるために酒を飲み、いつしかどうして酒を飲んでいるのかも忘れる。お酒は幸せと共にある。


お酒は幸せと共にある。そう信じているから飲んでいるのか、それとも信じることで救われるわけがないとわかっているから飲んでいるのか。幸せってのは苦痛と共にある。自分は幸せだと思わないと簡単に崩れてしまう。だから自分を騙すためにお酒を飲む。


お酒ってのは幸せと共にある。

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