『くまの鈴』 2
やんちゃ盛りの、ふーの孫は、しかし、なかなか思慮深いところはあったのです。
ふーは、総督でありながら、大統領も、首相も、空席のまま、権力を握っていました。
だから、独裁者です。
元々は、軍人上がりの、諜報員だったのですが、セールスマンという顔も持っていました。
かつては、皇帝がいる帝国でしたが、やがて、革命で共和制になりました。
いまは、帝国でも、王国でもないから、皇帝や国王はいないのです。
従って、王冠は必要がない訳です。
ところが、ふーは、王冠集めが趣味だったのです。
これは、実利も兼ねていた訳なのでした。
征服した、小さな王国や、国々から、わざわざ作らせた王冠を提出させていたのです。
名前だけ、国王、という呼称を認めていましたが、実質は、家臣、というわけです。
王冠は、ふーの巨大な王宮の、あの、はだかでばねずみさんたちが作った王冠が、はしっこにとりあえず置かれた長い立派なたなの、所定の場所に置かれていました。
連邦を成す各国の王や、首相、大統領たちは、参内すると、それを被るのです。
ふーの孫は、この、一風変わった、手作り感満タンの、しかし、決して豪華ではない、おもちゃの王冠みたいなものを、ぐるぐる回しながら、確かめておりました。
そうして、その内側に、変わった金属らしきわっかが縫い付けてあるのに、気がつきました。
『これは、なにかなあ。』
彼は、考えました。
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