第6話 東京の夜

 家に猫が来ました。

 名前はハルちゃんです。

 めっちゃ可愛いです。

 ただ、今は幼なじみに面倒を見てもらってます。

 なぜなら、今日の晩御飯を味覚が壊滅している幼なじみのために作っているからです。


「今日は再会を祝して、ちょっと豪華にステーキにします」


「やったぁ!」


 ハルにミルクをしている琴美ちゃんが元気よく返事をした。

 そんなに期待されても…スーパーで半額になってた安いお肉よ?

 だって安かったら買うしでしょ?美味しく出来るかどうかは調理者次第だし?

 はい、素直に言いますハルにお金を大量に使ってしまいました。

 一応少し前から少しバイト的なのをしてちょいちょい銭稼いでましたけどめっちゃ足りないっす。

 これからちょっとバイトの量増やそう…。


「おぉ、スーパーの半額になってたやつなのにめっちゃ高級店みたいな感じになってる…」


「まあ、盛り付けやら味付けやらで何とかなるもんよ…」


 一応料理勉強してて良かった…スパイスとかも家から持ってきておいて正解だった。


「それじゃあ頂きま〜す!」


「頂きます」


 机の上には2人分のステーキと白米、そしてサラダを真ん中にドンと置いていた。

 すまぬ、引っ越してきたばっかりで食器が足らんかったんじゃ…。


「龍ちゃんって意外とスペック高いよね」


「そう?なのになんでモテないんだろ?」


「んー、さあね?」


 なんかちょっとニヤニヤしてる。

 なんだこいつムカつくわァ、人の不幸がそんなに楽しいかね?


「あ、あとお願いがあるんだけどさ」


「なんだね?お姉さんになんでも言ってみたまえ?」


「俺が面倒見れない時ハルの面倒を見て欲しい」


 まだ子猫だから1人だとさすがに厳しいだろう。預けれるのも琴美ちゃんしかいないし。


「そっか、お隣さん私だけだもんね」


 そうなんです、実はお隣さんいないんです…新入居者募集とか書いとけよ…。


「うーん昼は私もちょっと厳しいかなぁ…」


「…よし学校に連れてくか!」


「えぇ!?行けるの!?」


 琴美ちゃんは驚きのあまり席を立った。


「ん?まあ猫を連れて来てはいけないと言う校則は無いからね」


「あってたまるか!」


「いいや限界だ!連れてくね!」


「飼って1日目でこれはもう手遅れだぁ…」


 ただ、俺は知らなかった…高校に入学してから、とてつもない不幸の連鎖が来る事を。

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