第5話 10年間
私は今、10年前からずっと恋をしていた男の子と一緒に出かけてます。
10年の間で体つきは変わったけど顔や性格は変わってない。もう1つ変わったとすれば雰囲気?がだいぶ違う…なんだろ?
大人っぽいというか、妙に落ち着いている。
そんな彼は今…。
「よしよし、いい子だねぇハル」
猫にミルクをあげている。
めっちゃ頬緩んでる…キモイくらい。
私はそんな彼をベンチに座りながら、さっき彼に奢ってもらったコーヒーを飲んでいた。
「ねえ、なんでティッシュとタオルも買ったの?」
「あー、子猫のうちは自分でトイレ出来ないからティッシュでトントンするんだよ」
「へぇ…」
なんか、ヤケに子猫に詳しくてちょっと以外。
彼の前ではちゃんとしたお姉さんでありたいんだけど…なかなか見せ場が無いと言うか、ここ10年で完璧になり過ぎじゃないかな?
家事は全般出来るし、優しいし、強いし…あれ?私の方が3つ上だよね?
「ほら、琴美ちゃんもあげてみる?」
そう言って彼は私の元へ駆け寄って来ると、私にハルちゃんを差し出してきた。
少し戸惑うけど、なんやかんや私も猫が好きなのでちょっとあげてみることにした。
そしたら、子猫は嫌な顔をせず必死に哺乳瓶に食らいついていた。
「見て!自分で哺乳瓶掴んでるよこの子!」
「おお、琴美ちゃんが抱っこした途端に…もしや母親の才能が?」
「私にそんな才能が!?」
やばい、可愛いこの子…龍ちゃんの家隣だしちょいちょい会いに行こ。
なんかこうしてると、本当にこの子のお母さんになったみたい。だとするとパパは龍ちゃんかな?
「本当に可愛いねぇ」
そう言って彼は私が抱いている猫をじっと見た。
あ、これ多分私の胸も見てるな。
「そんな目をする子は燃やしちゃうぞ?」
「大変申し訳ありませんでした!」
なんて早い土下座…私でなきゃ見逃しちゃうねぇ。
あと、胸見てた事は否定しないんかい。
「ほんと、10年前から変わらずHだねぇ?」
「男なんてみんなこんなもんだ!」
「開き直らない!ほらミルク飲み終わっちゃったよ」
この子すっごい人懐っこいなぁ。
天使か?天使なのか!?
「とりあえずそろそろ帰ろっか」
辺りも少し暗くなってきたので、あまり男子高校生(ギリ中学生)を暗い時間まで連れ歩くのは気が引ける。
「そうだね…よし、帰るぞハル」
そう言って歩き出した彼はの顔は猫を見ていると年相応の可愛らしい顔をする。
あぁ、とりあえず高校生になったら手を出しても犯罪にはならないのだろうか?
いや、でも待って…私18歳過ぎてるから犯罪じゃん!これじゃあこの子が高校卒業するまでダメじゃん!
はあ、いっその事告白とかしてくれたら気が楽になるんだけど…この子に限って今のところ、そんな感じじゃないし…。
今度友達に相談しよっかな?
「今日晩御飯俺が作るよ」
「え?いいよ1人で」
急に誘われるとドキドキしちゃう…あと派手になり過ぎないように
「まあまあお昼ご馳走になったし…あと、心配だし…色々と…」
え?心配してくれてる?私を?
これって脈アリなの!?ならここで行くべき?いやでも…。
※そっちの心配ではありません。
「とりあえず、買い出しに行こっか」
「え?あ、ちょっと!」
彼は私の返事を聞かずにスーパーの方向へ歩き出した。
そんな強引に…結構脈アリじゃない!
※強引な理由は違います。
焦らなくても…いいのかな?いや、でも友達には相談しとこう…相手は未成年だ。
今回は、こんな感じの2人の思い違いの話。
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