君がくれた最後の贈り物
君がいないこの世界は、モノクロで色が無い。
あんなに輝いて色づいていた日々はもう、戻ってこないんだ。
一人アルバムを開いて、見る。
一緒に泣いて、一緒に笑って。喧嘩もいっぱいして。毎年、君が1番好きだった、君の名前と同じ花を見に行って。
君がいれば幸せだった。
君が隣で笑っていてくれれば、それでよかった。
なのに___。
何で先に逝ってしまったんだ。
涙が一筋流れた。俺はそれを拭って彼女の部屋に向かう。彼女がいなくなってから整理もしていなかった。
あいつ、片付け苦手だったもんな。少し片付けるか。
部屋に入ると案の定汚くて、物が散らばってて。
『桜!片付けろよ!』
『えー…。めんどくさい』
『あ?』
『優ちゃんが手伝ってくれるならいいよ』
……なんて事、よくあったっけ。
そんなやり取りももう、この先彼女とやる事もない。
駄目だ、また泣きそうになってる。片付けだろ、片付け。
そうして彼女の机の上から片付ける事にした。
暫く机の上の物を分別していると。
「ん?何コレ?手紙?……しかも、俺宛?」
淡いピンク色の封筒に入った手紙だった。 そこには俺の名前が書いてあり、裏には彼女の名前が書いてあった。
一旦手を止めて開封して中身を取り出す。
『優ちゃんへ。
この手紙に辿り着くとは、流石だね!早速だが、私の部屋のクローゼットにある棚の上から二番目を同封してある鍵で開けてみたまえ。素敵なものがあるはず!
桜』
何だよ、コレ。訳分かんねぇ。取り敢えず、開けてみるか。
クローゼットに向かって、手紙の通りに二番目の棚を開けてみる。
…………箱?
白いリボンが巻かれた赤い小さめの箱が入っていた。開けてみると、そこには。
「…………ったく。こういうのは男が買うもんだっつーの、バカ桜」
短い手紙と銀色に輝く指輪が二つ入っていた。指輪には片方は俺の、もう片方は彼女のイニシャルが入っていた。
そして、手紙には___。
『優ちゃん、大好きだよ。ずっと一緒にいようね』
彼女の最後の贈り物を指にはめて、もう一つをリビングに飾ってある彼女の笑った写真の前に置く。
ありがとな、桜。
俺も、大好きだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます