マイクラ二次創作/迷子、宿を建てる
今育ててる村の農夫さんが人参を要求するからちょっくら他の拠点へ取りに行ったら迷子になった。
南へ向かってたはずが何故か思い切り北にいる。そして迷子になる度に見つける廃村に辿り着く。
道はがたがた。二軒しかない家は半分壁がなかったり入り口が埋もれていたり、とても休める状態ではない。
これでも初めて訪れた時には村人の姿があった。二度目の来訪時にはもう居なかったが。
たった二軒の限界集落。取り壊して、整地して、宿を作る事にした。
空の小さなチェストを見つけたので建築に不要なものを一時的に預けておく。
ぽくぽくぽく。家屋の解体作業が始まった。道に面している側しか無いのですぐに終わる。
さくさくさくっさくさくさくっ。「効率II」のダイヤのスコップで土地を平らにしていく。たまに掘り過ぎて埋め直す。
大きさはどうしよう。
風呂トイレ、キッチンと寝室。ダイニングは広いめにとろう。そういえば羊毛が足りない。屋根の素材になる石も足りない。ついでに地下室も作ろうか。
次々にアイディアが出てくる。
幸い手持ちに木材がたっぷりあるし、周りにもたくさん生えている。
まずは玄関。そしてトイレと大浴場。
食堂と、そうだ受付カウンターを作らないと。
一階の天井を張って、二階に客室を作る。
廃村に残っていたベッド、文机と椅子、それから観葉植物の植木。うん、なかなか素敵な部屋になった。
屋根を張る。大きな屋根だ。元々持っていた丸石、解体で出た丸石と苔むした丸石を片っ端からハーフブロックにして組み上げる。良い感じに古びた屋根の雰囲気が出る。
ハーフブロックにすると数量的には倍になるが、足りなくなったので予定通り地下を掘る。丸石をたっぷり採って、代わりに土を敷き詰め耕した。そう、畑だ。整地すると出てくる種、他の村から分けてもらった芋と人参を植えてまた建築作業に戻る。ここを出発する頃には幾分増えているだろう。
黙々と手を動かして、ついに大きな屋根が完成した。これで雨や雷を気にせずに内装を整えられる。
近くを通りかかった羊から羊毛を入手したり、トウヒの木を切り苗を植えたり、地道な作業が続く。
客室の一画に、語り部コーナーを設けてみた。
迷子になる度に辿り着いていた場所なので、自分でも知らないうちに愛着が湧いてしまっていたらしい。まだ村人がいた頃から始まり、宿ができるまでの遍歴を記していく。
できた。なかなかに満足のいく仕上がりだ。いや、実際には内装がまだ整いきっていないが必要な物を他の拠点へ取りに行かないといけない。お気に入りのツールももうボロボロだ。
手荷物を整えて、玄関先の馬に跨がる。
「待たせたね。さぁ、行こうか」
太陽の位置を確認しながら南へ向かった。
海を望む大きな寺がある村を通り、スポーン地点付近の集落を抜け、南を目指す。やはり木や崖を避ける内に方角を見失うようだ。
高い山の上にある集落を抜けて、草の道をあえて外れて進むと、建築中の城が見えてくる。今は整えている気力がないので通過する。
「南へ、南へ……」唱えながら馬を走らせる。
やがて大きな山が迫ってくる。その足元にぽっかり穴が開いている。この風景には見覚えがある。
ここだ! このトンネルだ!!
ようやく溶岩村へ帰ってきた。
短編、詩 燐裕嗣 @linyuushi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。短編、詩の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます