第三章 このままじゃ、ダメですか?

教壇を挟んだ下敷き卓球が続いている。


「シャアッー・・・」

おバカな山田が叫んでいる。


赤石と西島の卓球部員相手に、本気で勝っていると思っているのかな?


それでも二人とも、少なくとも山田よりは大人のヤツラは、下敷きで器用にカットボールなんかで、わざと難しい技で打ち返している。


クラスのみんなも笑いながら、三人のパフォーマンスをチラチラ眺めている。

こいつらを見ていると、何故かホッとする。


クラスにはとんでも無い不良もいるけど、何故かアイツらには手を出さない。

きっと、毎日、死ぬほど練習している姿を見ているせいだろうか。


二年まで他のクラスで虐められていた倉橋も、楽しそうに笑っている。

山田がいつも一緒にいて、じゃれあってくれるから誰もいじめたりしない。


時折、倉橋が山田をぶったりしているシーンが何回もあった。

アイツは嬉しそうに悲鳴をあげていた。


山田の唯一の取り柄だな。

分け隔てなく、誰とも付き合う。


自分も幼い頃いじめられたからと、いつか、ポツリと聞いた。

私は、このクラスが大好きだ。


そして、西島も。

屈託のない顔で笑っている。


幸せな時間。

この平穏な日々が永久に続けばいいと、本気で願っていたのに。


あの日。

ヤツに、公園に呼び出される前までは。

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