第四章 儚い予感
待ち合わせ時間の5分前。
私が公園に着くと、既に西島がベンチの前で立っていた。
狭くもないが、大して広くもない公園は中学校のすぐそばにあった。
今は試験中で、クラブも休みだ。
当然ながら、わずかな時間を利用して最後の詰め込み作業をしている最中だ。
でも、西島からの誘いを断る理由なんて、私には無い。
「あ、あのぉ・・・」
俯くと更に私よりも低くなるアイツの短い髪を見つめながら、私は言葉を待っている。
もどかしい時間も、私にはジワッとした熱い快感でしかなかった。
大好きなアイツが傍にいるだけで幸せだったんだ。
「き、今日・・・このあと・・・公園で・・・待ってます・・・」
ようやく絞り出した声を残して、ヤツは教室を後にした。
おいおい、私の答えは・・・・?
突っ込む前に、私の口元は笑みを浮かべていた。
幸せに、わななく興奮と。
淡い期待を戒める理性が。
私の、中学三年生の心に渦巻いていたのだった。
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