第46話 どうしたら・・・

 カビで白黒に変色した畳へハルトの涙が絶え間なく落ちる。

 握った拳の爪には脆くなったイグサが詰る。隅々まで暗い室内でハルトの嗚咽だけが人の存在を示している。土下座のような格好で額を畳に押し付けて硬直している。 

 自分の奪ったものの重さを、罪の重さを一つ一つ眼前に並べられるように過去の記憶の想起が続く。

「俺じゃねーかよ、頭のイカレタ欠陥品は俺じゃねぇか」

 家族の憂いを絆で乗り換えようと団結しなければならなかったのに、俺は結論を焦り最悪の結果を招いた。まるで自分は家族と言う真っ白な半紙に落ちた一滴の墨汁だ。落ちて広がり瞬く間に半紙を黒く染めてしまった。

 俺は悪だ。サクラを殺し、母さんを貶め、婆ちゃんを騙し、父さんを殺そうとした。

 これ以上の卑劣がこの世にあるか。

 これ以上の下劣がこの世に居るか。

 このままではいずれ俺はまた人を殺してしまう。

 俺はそう言う化け物だ。

 俺は

 俺は


 ・・・どうしたら良い。

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