第46話 どうしたら・・・
カビで白黒に変色した畳へハルトの涙が絶え間なく落ちる。
握った拳の爪には脆くなったイグサが詰る。隅々まで暗い室内でハルトの嗚咽だけが人の存在を示している。土下座のような格好で額を畳に押し付けて硬直している。
自分の奪ったものの重さを、罪の重さを一つ一つ眼前に並べられるように過去の記憶の想起が続く。
「俺じゃねーかよ、頭のイカレタ欠陥品は俺じゃねぇか」
家族の憂いを絆で乗り換えようと団結しなければならなかったのに、俺は結論を焦り最悪の結果を招いた。まるで自分は家族と言う真っ白な半紙に落ちた一滴の墨汁だ。落ちて広がり瞬く間に半紙を黒く染めてしまった。
俺は悪だ。サクラを殺し、母さんを貶め、婆ちゃんを騙し、父さんを殺そうとした。
これ以上の卑劣がこの世にあるか。
これ以上の下劣がこの世に居るか。
このままではいずれ俺はまた人を殺してしまう。
俺はそう言う化け物だ。
俺は
俺は
・・・どうしたら良い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます