第19話 サエの決意
「あのー透明……」
「ああ、ガドで良いよ」
「ガドさん、あいさんと一緒に仲間のところへ、来ていただきたいのですが」
ヒノが頼みにくそうにあいの方を見て同行を依頼している。
「私と配下の者は、ここ数日泥水をすすり、食べ物は食べていません。あいさんの牛丼を仲間にも、食べさせて上げたいのです」
「すぐに行くぞ」
おれがそう言うと、ヒノがもじもじしている。
「どうした?」
「あのー、私が走るより、ガドさんに運んでもらった方が速いので、先程の様に運んでいただけませんか」
ちっ、抱っこして運ぶって事か。
「わかった、連れて行ってやるよ。案内してくれ。あいは、場所がわかったら後から来てくれ」
「はい」
「行ってしまったのう。ヒミ、ところでお前達のステータスって全部嘘なのか」
「いいえ、パートナーのところだけ作りました。おばあ様の魔女も本当のことです」
「ふむ。じゃあ早いところ、嫁というのは嘘だと言った方が良いのではないか」
「それですが、私は嫁のままでいたいのですが、だめでしょうか?」
「あんな奴で大丈夫か」
「おばあさん、ガドくんは、あんな奴ではありません」
あいがキッとまゆをつり上げながら、まなに話しかけた。
「ガドくんは顔が恐いので、とっつき悪いですが、人と会話するのが嫌いで、とっつき悪いですが、常に弱い人の側に立って行動する人です」
「ほう、だからあいはガドが好きなのか?」
「す、す、す、好きではありません。エッチな人は嫌いです。あ、ガドくんがついたみたいです。私は行ってきます」
「ちっ、逃げてしまったか」
「あのーおばあさん。何故ガドくんをここまで信頼しているのですか?」
サエはずっと疑問に思っていたことを聞いてみた。
「ふふふ、ガドはのう、わしのいた世界ではわしの三大眷属と言われて、人々の畏怖や尊敬を集める者じゃった。同一人物ではないのだろうがそっくりなのじゃ。きっと、同じぐらい役に立ってくれるとおもってのー。じゃが、わしの世界のガドはああもスケベではなかったがのー」
「じゃあ、やっぱり別人ですね」
「どうするサエ、お前さんは普通の人間じゃ、ここから先、深入りする必要はないぞ」
「足手まといと、言うことですか?」
「まあ、簡単に言ってしまえばそうじゃ。じゃが、それを言ってしまえば、わしから見れば、あいとガド以外は皆同じじゃがのう。ガドのお気に入りみたいだから、来たいのならば止めはせん」
「では、いきます。そして、ガドさんや、おばあさんの戦いの証人になります」
「うむ、良かろう」
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