第18話 本当! 最低

落ち着いてヒノを見ると、顔はヒミを少し幼くした感じでかわいい。

胸は手で隠しているだけなので大きさはよくわかる。

ヒミより大きい。

胸は、姉さんより姉さんだ。


「ヒノこれを着よ」


ばあさんがヒノに魔法で作ったセーラー服を渡した。

まさか、俺がジロジロ見ているのに気が付いたのか。


「一人透明なのをいいことに、お前の胸ばかり見ている奴がいるからのう」


「なんでわかるんだ。見えているのかーー!」


「最低―です!!」


サエが声をあげ、目から光が消えた。

当然あいからも光が消えた。


「ヒノ、お前はいったい、いくつなんだ」


「私は十八歳です」


「おわーーしまった。歳を聞いてしまったー。ゴウさんステータスを見てくれ」


「えっ! あ、あ、パ、パートナー、透明スライムになっています」


なんか、ゴウさんが下手くそな、俳優のように棒読みになっている。


「よっしゃー!」


ヒノ以外の女性陣の目から光が消えた。


「ゴウさん、嫁って何人までいけるんだ?」


ゴウさんがあたふたして、ヒミの方を見た。

ヒミが指を三本立てている。


「さ、さ、三人です」


おかしいなー、ゴウさんそんなことも知らねーのか。

まあ、いいか。


「じゃあサエお前もなっとくか」


「絶対になりません!!」


すげーー怒っている。

あいの顔も鬼のようになっている、こえーー。

なんで怒っているんだー。

まあ、いいか


グーーー

セーラー服を着たヒノの腹が鳴った。


「ご、ごめんなさい」


ヒノが真っ赤になっている。

グーーー

今度はヒミと、ゴウさんの腹が鳴った。

三人とも緊張が解けて腹の減っていることに気が付いたのかな。


「あい、何か食べる物を出してやってくれ」


「はい、牛丼で良いかな? どうぞ」


どんぶりを、ヒミに渡した。

箸とスプーンを出したが、ヒミは箸をとった。

一口食べたヒミの目がまん丸になり、少し飛び出している。

姉の顔を見て、そんなにおいしい物なんてないでしょうに「恥ずかしい」みたいな顔をしている。

あいからどんぶりと箸を受け取ったヒミも、一口食べると姉と同じ顔をしてガツガツ食べ出した。


「なあ、ばあさん。これも魔力で出しているのだろー。大丈夫なのか」


「物を出す魔法はほとんど魔力を使わない。だから、わしのいた世界では使えないように、魔法をかけてある。じゃがのう魔力はいらんが、正確にイメージ出来ないと、作り出せない。わしは、食べ物を出すのは苦手じゃ」


おれは、こっそり大好きな飲み物を出そうとした。

うん、だせねーー。

俺は、物を出す魔法の能力はないようだ。

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