第9話

日曜日、今日は休日で、会社も学校もない。そんな日、、、

「お兄ちゃん、今日はお休みでしょ?お出かけしよ!」

正午前のリビングで、妹のミクにお出かけの誘いを受けた。なんで俺の休みの日を知ってるんだ、、、

「うーん、確かに特に予定はないが、、、」

「それなら行こうよ!欲しい服があるんだー!」

俺は少し考え、、、

「ああ、行こうか」

「やったー!」

ミクの提案をのんだ。


大都会の通りにて、、、


「お兄ちゃん、これ、可愛いでしょ?」

ミクはモデルだから基本的に何でも似合う。

「ああ、いいんじゃないか?」

「むー、なんだかそっけないなぁ」

「いやいや、お前に合ってる色だと思うぞ。ていうか、ミクはモデルなんだから俺みたいなズブな素人に感想を聞かなくても、、、」

「私がお兄ちゃんに聞きたいんだから、いいのいいの。それよりも、こっちの服はどう?ちょっと大人めで綺麗な感じだよね?」

「うーん、お前にはもうちょっと活発な色が合ってるんじゃないか?例えば、こっちの服とか」

俺は近くにあった明るめな色のワンピースを手に取る。

「そうかなぁ、私に似合う?」

「ああ、良ければ試着してきたらどうだ?」

「買う!」

「お、おう、、、」

ミクはすぐにその服を買うことに決めた。

「ありがとね、お兄ちゃん!いいワンピース買えたよ」

「いや、提案しただけなのに、あんなに急いで買わなくても、、、」

「いいや、この服が他の誰かに先に買われると困るからね!」

「そうか、、、」


俺たちはショッピングの後、昼食を取ることにした。

「お兄ちゃん、何食べたい?」

「うーん、洋食よりも和食の気分だが、いかんせん、ここには洋食しかなさそうだな」

「それなら、、、あそこでクレープでも食べない?そこのクレープ屋さんは和テイストのクレープもあるんだよ!」

「和の、、、クレープ、、、!?」

ミクはこの近辺の土地勘を使い、一軒のクレープ屋を提案してきた。メニューを見ると、鳥の照り焼きが入った和風クレープというものがあった。

「おお、ありだな」

「でしょでしょ?」

俺は照り焼きクレープを、ミクはサラダクレープをそれぞれ頼んだ。

「お兄ちゃん、はい、あーん!」

ちょっと気恥ずかしかったが、妹のまんべんの笑みに負けて口を開けた。

「うん、悪くないな」


午後は水着を買うことになった。

「なあ、ミク。俺、外で待ってていいか、、、?」

「だめだよ、お兄ちゃんにも一緒に選んで欲しいの!」

どう考えても俺は女性ものの水着売り場には似合わない。正直俺は店の外で時間を潰そうと思ったのだが、ミクの懇願で仕方なく彼女に同行することにした。

「これもいいなぁ、、、あ、あれもいいなぁ、、、」

ミクは様々な色の水着に目移りしている、、、彼女は普段、家庭では仕事のことを口に出さない。モデルという仕事も楽ではないだろう。スタイル維持のための努力、先輩後輩との上下関係、、、数多くの悩みもきっとある。我が妹のことだとしても、俺はそれらを完全には理解できないだろう。そんな彼女がこんなにはしゃいでいる、それが俺は嬉しくて、、、

「ふふっ、、、」

つい、笑みがこぼれた。

「あ、お兄ちゃん、なんだか楽しそう!」

その表情をミクは見逃さなかった。流石は、俺の妹だな、、、


ミクは熟考し、水着選びを終え、俺たちは家へ帰るのだった。

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