第5話
クラッカー音に狼狽している俺を部屋の前から中に無理矢理押し込む木辺。俺は何が起きているのか分からなかった。
「いらっしゃい、キミがNクンだね?きゃー!ちっちゃくてかわいー!これからよろしく!」
ギャルっぽい少女にも歓迎される。
「うん???どういう、、、」
「よ!う!こ!そ!よろず部へ!!!」
「お、おう、、、」
一旦俺は状況を整理してみた。俺は初対面の少女との約束の通りに言われた部屋の前まで来た。すると、突然その扉が開き、強引に部屋に押し込まれた。そして、『よろず部』という聴き慣れない単語と共に自身が少年少女に歓迎されている。もしや、、、
「この部、廃部になりかけなのか?」
「ギクっ、、、」
リアルの人間から『ギクっ』って言葉は初めて聞いたぞ。
「それで俺をこの部の入部希望者に仕立て上げようとしたって訳か」
「ギクギクっっ、、、」
『ギクっ』が増えた。
「あゆみん、そうなの?てっきりあたし、よろず部に入ってくれるもんかと、、、」
ギャルっぽい少女は少し落胆しているようだ。
「まあ、俺は元々期待してなかったけどな」
見た目が怖い少年も諦めたように言う。
「うーん、、、」
木辺は少し黙った後、意を決したように言い放った。
「N君!よろず部に入部して!お願い!」
「ちょっと待ってくれ!俺、この『よろず部』について何も知らないんだ。とりあえずこの部について教えてくれないか?」
そう言うと、木辺はどこか安心した表情を浮かべる。
「ありがとう!話だけでも聞いていってね」
木辺はそこから語り出す。
「このよろず部は困った人のお手伝いをボランティアとして行う部なの。掃除や洗濯、料理とかの家事全般、引越しのお手伝いとかの力仕事などなど。主に前者は私とそっちの彼女、後者は彼がやってるの。去年度までは部員の最低人数は4人だったんだけど、それが今年度から5人に増えちゃったんだよね。だから、君、N君の協力が必要なんだ!」
「?おい、1人足りないぞ」
辺りを見回しても、木辺、ギャルっぽい少女、見た目が怖い少年の3人しかいない。
「ああ、それはね、この部の部長は病弱で学校を休みがちだからね、、、」
「なるほど、後1人で部が存続できるわけか、、、」
「そうなの、無理にとは言わないけど、、、いや、無理にでも入って欲しいな、、、」
「、、、」
俺は少し考えた。そして、、、
「体験入部をさせてくれないか?それに、すぐには決められない、時間が欲しいんだ」
その言葉に、その場にいる全員の表情が明らかに変わる。
「ーーー!ありがとう、N君!きっと、この部の良さが伝わるはずだよ!これからよろしくね!」
俺はその日から、よろず部の仮部員になるのだった。
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