第3話
高校編入前夜、、、
「お兄ちゃん、部屋片付けておいてって、、、あれ、、、片付いてる、、、」
俺はミクに指摘される前に模様替えごと済ませていた。
「そっか、明日から学校生活が始まるから気合い入ってるんだね」
彼女に言われるまで気付かなかった。何か気がかりなことがあると部屋の整理とかに気が向くものだ。
「そう、、、なのかもな、、、」
俺は学校という場所にあまりいい思い出がない。そもそも大勢の人間が集まる場所があまり得意ではないのだ。俺が中卒なのもそれに起因する。修学旅行の部屋決めにもだいぶ苦戦した経験がある。
「お兄ちゃんがそういう場所が苦手だってことくらい知ってるよ。だから、なんで社長さんの頼みを引き受けたのか少し不思議なんだ」
「ああ、それか。俺も中学を出てからだいぶ時間が経って会社にも入って多少は人慣れしてるつもりだ。それに創作活動にもスパイスが必要だろうしな」
「そう、、、でも、無理はしないでね。何かあったら何でも相談に乗るよ」
「大丈夫だって、お前にも迷惑はかけないさ」
「そうなの、、、まあ、私もせっかくの機会だし、目一杯楽しんじゃおう!」
ミクは世話焼きなのが玉にキズだな。でもそれが彼女の良いところでもある。そんな妹は何故か俺と同じ中卒。本人曰く、モデルの仕事に全力を注ぎたかったからとのこと。単に学校に行きたくなかった俺とは違う。
さて、明日に備えて今日はもう寝るかな。
「もう寝るの?お休み、お兄ちゃん」
「ああ、お休み、ミク」
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