第32話婚約者side
何で?
どうしてこうなった?
僕の十二の誕生日。
あの日から全てが変わった。
スタンリー公爵家から実家のヤルコポル伯爵家に連れ戻された。
最初はヘスティアの病のせいだと思っていた。病気を僕に移さないための処置なんだと思ったけどそうじゃなかった!
「これからお前を鍛え直す」
父に訳の分からない事を言われた。
そして僕は公爵家に
大勢の家庭教師に囲まれての日々が始まった。
何で!?
「ここまで何も出来なかったとは……。公爵家の皆さんに申し訳ない」
僕のテスト結果を見て項垂れる両親。
呆れ果てる家庭教師達。
なんだよ!
今まで何も言わなかったじゃないか!
「これではお飾りにもならないぞ……ただでさえヴィランは冴えない容貌だ」
なんで……そんなこと言うんだ。
公爵家ならそんな酷い事は言わない。
ショックをうけている僕を放置して両親と家庭教師達は挙って「勉強しろ」と、大量の参考書を押し付けてきた。
「来年は学園に通うんだ。公爵家の婿になるお前の成績が下から数えた方が早いなんて言われかねん。いや、今のままなら確実に言われる。ヴィラン、これはお前自身のためなんだ」
意味が分からない。
一度、兄達に助けを求めた。
そしたら――
「何甘ったれたこと言ってんだ?お前が今習っているところは俺達がお前の年齢には既に修了していたぞ?」
「僕は兄上達のように才能がないんだ」
「バカか。俺達だってな、血がにじむ努力で今の地位を築いたんだ。才能っていうがな、それも努力あっての代物だ。それも今後どうなるか分からんがな」
「えっ?」
「お前がスタンリー公爵家で暴利を貪ってた事が社交界で話題になっているんだ。折角、王太子殿下の側近になれたっていうのに切られそうだぜ」
「そんな……」
「俺はまだ良い。騎士団という居場所があるし、義父になる騎士団長も俺を庇ってくれる。でもな、文官のジャスティは針の筵状態だ。フェリィーの縁談にも支障をきたしてる。これ以上問題を起こすな」
「今まで誰の何もいわなったのに……何で……今更……」
「お前にも言い分はあるんだろうが、今は大人しくしてろ」
「い……何時まで?」
「さあな。社交界での話題が他に移った時じゃないか?」
ウォーリ兄上が疲れたように言った。
何時も快活な兄の力のない笑い。
十二歳の誕生日。
僕は公爵家から伯爵家にきた。
あれから殆ど軟禁状態だ。
外では一体何が起きているんだ?
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