第30話噂
『聞いた? 遂にヤルコポル伯爵家の三男がスタンリー公爵家を追い出されたそうだぞ』
『あら~可哀そうに。でも、しょうがないわよね。
『全くだ。公爵家が後ろにいるから今まで注意一つ出来なかった』
『たかだか入り婿候補と揉めて、スタンリー公爵家の心証を悪くするなど冗談じゃないわ』
『ヤルコポル伯爵も上に取り入るのが非常に上手いからな。中堅の伯爵家から大臣が出たんだ。それも最年少だ。お偉方の“お気に入り”は得だ。羨ましい限りだよ』
今、社交界の一番の話題は「ヴィラン」の事。
社交界に出ていない私にも聞こえてくる位に話題沸騰中。
恐らく、噂は更に酷くなっていく事でしょう。
最近は、ヤルコポル伯爵夫妻と他の兄弟にも矛先が向いているようです。
お父様が言っていた「嫉妬」も幾分か含まれているのでしょう。
けれど言っている事は間違いではありません。だからこそ伯爵家も訂正できないのでしょう。それをいい事に「嫉妬集団」がここぞとばかりに攻撃しています。
ただ、中には伯爵夫妻を擁護する声も少なからずありました。
『思っていたよりもヤルコポル伯爵夫妻はマトモだ』
『婿入りの常識を知らない彼の親とは、一体どのような神経の持ち主かと思っていたが……どうやら私の勘違いだったのだな。疑って申し訳ない。まさか息子自らが自身の悪行を子飼いの使用人を使って隠していたとは……』
『御三男はよほど演技が上手いのでしょう。身内にはいい顔をして、外の人間には居ただけになる。息子だからという信頼が裏目に出た結果だ。彼もまだ十二歳。十分更生出来る歳だ。寧ろ、早い段階で分かって良かったのではないか? これが成人近くに発覚しては目も当てられない』
擁護者はきっと「婿入り」か「婿入り家庭」が大半でしょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます