【14】第二の場面「最初で最後の出会いな別れ」
「カサツシ中佐」
「なんだ、イフラ少尉」
「自分たちは、何時になったらここから撤退をするのです」
「まあ待て。待つのも戦術の一つだ。周囲に敵が散開している、この状況ではな」
カサツシ中佐は、自分の耳元へそう囁きました。大きな音をたてるわけにはいきません。
沈黙が襲いますが、微かに混じる呼吸音は生の証。まだ、生きています。死んではいません。
「カサツシ中佐」
「どうした、イフラ少尉」
「喉は渇いていませんか」
「潤っていると言えば嘘になってしまうな」
「自分の水は少量ですがまだ残っています。カサツシ中佐がお飲みください」
「いい。それはお前が飲め。これは見栄ではない。客観的に見て、お前こそ憔悴している。それとも語尾に『これは命令だ』付け加えておくか?」
迂闊でした。そうおっしゃられてしまうと自分は逆らうことができなくなります。自分よりも階級が上の人物の命令は、誰であろうと遂行しなければなりません。この水は口を湿らせる程度にしておきましょう。まだまだ長丁場。体力が疲弊しない程度に、しかし飲み過ぎないように。水が切れたとき、そこで自分の命も切れます。
不思議なことに、心臓の鼓動はゆったりとしていました。恐怖は感じません。これは自分に感情がないからでしょうか、それとも、カサツシ中佐が隣にいるからでしょうか。
「カサツシ中佐」
「言いたいことは纏めて言え、イフラ少尉。昔はなかったのに、悪い癖だ」
「承知しました。自分の悪癖なら、直さねばなりません」
指摘されて初めて気がつきました。いつから自分は、意見を小出しにしては、カサツシ中佐に何度も手間取らせているのでしょう。中佐は元来、喋りが好きではありませんのに。
「…………。そうか。ずっと違和感があると思ったら、あれだ。一人称が『自分』だろう」
「我らは皆そうですが」
一人称などあくまで、どの人物を指して言葉を発しているのかを特定させるための道具でしかありません。故に、実観隊では「俺」や「僕」や「私」といった言葉など絶対に使わず、一貫して「自分」で通すのです。
「せめて、私用の時間ぐらいは『私』とでも使ってくれ」
「もし自分が、実観隊を辞めるようなことでもあれば、その時にお披露目します」
カサツシ中佐は何もおっしゃりませんでした。自分も何も言いません。
自分は実観隊に誇りを持っています。この「自分」という一人称こそ、その表れです。
「どうして本隊は、我らの救援にこないのですか」
自分の質問に、カサツシ中佐は「うぅん」と唸ります。
「イフラ少尉は例えば、ヒオビ曹長の服が炎上し、水を求めて走り回っていたら、どうする?」
「それがヒオビであったことを確認したのち、放置します」
「つまりそういうことだ」
「つまりどういう意味なのです」
「流石は実観隊隊長。食事の取り方と同じ。知識を噛み砕かないな。……ヒオビ曹長を助けないのは、最早本能の域なのだな。あいつもつくづく嫌われたものだ。報われないな」
そう言ってカサツシ中佐は笑いました。この今際の刻みで、どうして笑いという感情が呼び起こされるのでしょう。笑いとは、出来事が滑稽であった場合に起こるのでは。
「俺はメモリ少尉が自分で物事を考えられるよう教育をしているんだ。少しは推測してみたらどうだ? そうでなければ、俺も報われないな」
カサツシ中佐は、実観隊隊長である自分へ教育を授けています。もともとは、作戦の意義を知るため、と始まったことです。当初の自分は「そんなもの必要ありません」と拒びました。しかし命令とあっては、自分に拒否できる権利などありません。「頭脳」として実観隊を指揮する自分でありますから、柔軟な発想をしなければならないと最近は思うようになりました。
あまり思っているようには動かない頭を全力で回転させてみます。
レチクラの極南西、モヴィ・マクカ・ウィとの国境付近に、クネホファという名の遺跡があります。二千年ほど過去に発達した文明が遺したものです。今や住居の跡が僅かに名残を見せているだけとなっています。第三国と交易に陸路を伝う貿易人を、モヴィ・マクカ・ウィの賊などから守るために、現在でもレチクラは要衝として軍事基地として利用しています。
そのクネホファ遺跡が襲撃を受けているとの報告を受けたレチクラ軍が、カサツシ中佐を派遣しました。お供に選んだのは実観隊。少数精鋭で防衛に当たります。カサツシ中佐の直属の部隊、【陽浴の造花】は砦で待機する命令です。
襲撃者の正体は、やはりというか、山賊でした。到着してから一時間もしないうちに制圧は完了します。
ですがそのすぐ後から、モヴィ・マクカ・ウィの正規軍が攻撃してきました。個々の練度は低かったのですが、苦戦を強いられました。なによりも自分らを苦しめたのは、数の暴力です。戦力差はどうしようもありません。こちらは全員が百戦錬磨とはいえ、百人と同時に相手して勝てるわけでもないのです。絶え間ない波状攻撃は、我らに休息を与えてくれませんでした。それこそカサツシ中佐なら、一人で千人を相手に勝利したという武勇伝がありますが、それは相手を全滅させたわけではありません。あまりの力の差に、敵が恐れをなして逃げただけです。
不利と早急に判断したカサツシ中佐の指示で、撤退戦に移りました。……それが読まれていたのでしょう。迫撃と伏兵は巧妙でした。逃げる先々に兵が置かれていて、前と後ろの挟撃、否が応でも戦闘は避けられませんでした。
実観隊は全体を生かすための犠牲を厭わないのです。少しでも生存の可能性に賭けるため、我らは一人、また一人と囮をしました。カサツシ中佐は断固反対しましたが、それでは実観隊は意味を成しません。使い捨てで構わないのです。
逃げ惑っているうちに、空は帳が落ち始めました。夜間の戦闘が禁止なのは双方とも暗黙の了解です。相手を慮ってのことではなく、単に同士討ちを避けるため、ですが。
形がなんとか留まっているぐらいの小さな家屋に、自分とカサツシ中佐は入り込みました。入口付近には何十もの自動発動する魔を仕込んでいます。敵がきたらすぐ臨戦できる態勢。どれだけ兵力を投入されているのか検討もつきません。迂闊に行動するわけにはいかないのです。
一夜をそこで過ごし、夜明けになったら自分とカサツシ中佐は移動を開始しました。そこで絶望的な光景を目の当たりにすることになります。
敵の、増援。数えられただけでも数百人。どこを向いても敵、敵、敵。ほとんどが女。魔による包囲網。こうなっては強行軍は無謀です。隙を伺い逃げられそうにありません。なら救援を待つのみ。それまでは只管に辛抱します。単純ですが、それしかありません。
数千年前、火山の噴火に伴う火山灰によって、一夜にして崩壊してしまった文明。かつては数十万もの人々が平和に暮らしていたであろうこの場所。今では石の隙間に植物が芽吹いてしまい、自然の大きさと人間の矮小さを現代人に教えているにすぎません。とは言え、流石の石造り。原型こそ留めています。野ざらしよりは体力維持に努められるでしょう。
現在、午前七時。依然としてライミツヒとの連絡が取れません。彼女は通信の魔を得意としています。向こうからなんのコンタクトもないということは、かなりのジャミングがされているはずです。通信は不得意な自分が迂闊に魔を飛ばせば、傍受される恐れすらあります。
「考えろ。よく考えろ。イフラ少尉の持っている情報だけでも、推察することはできるはず」
「……――あ」
この一連の動向に、一か所、不審な点を見つけました。
モヴィ・マクカ・ウィ軍は、どうしてクネホファ遺跡にいるのです? モヴィ・マクカ・ウィ軍は、明らかに戦闘を重視……それどころか、目標を「殺す」装備をしていました。役目を果たすためだけの編成された戦闘部隊。
「モヴィ・マクカ・ウィはカサツシ中佐がクネホファ遺跡にくることを知っていた? カサツシ中佐を抹殺することができれば、レチクラ軍は瓦解……」
幾度にも渡る戦いを逆転勝利させてきたカサツシ中佐。言い返しますと、レチクラ軍はカサツシ中佐がいなければ、ほとんどの戦いに負けていたのです。カサツシ中佐という人間の存在は、その肉体の範囲を大きく超えて、戦闘を疎ませる効果を持ちます。そんな人物を殺すことができれば。モヴィ・マクカ・ウィのレチクラ侵攻は容易となります。
しかし合点のいかない部分があります。ことの始まりは、山賊退治でした。他の部隊が派遣されたらどうするつもりだったのでしょう。たかが山賊退治にカサツシ中佐が出陣するなど、普通は考えられることではありません。どれだけ深く読んだことや、ら……、
「…………」
レチクラ軍に、カサツシ中佐を快く思っていない者がいたとしたら?
二十代という若さにして中佐という階級に昇ったカサツシ中佐は、多数の人々から憧憬の眼差しを送られます。ですが、少数の人々からは。
「ちなみに俺の予想が当たっていれば、援軍はこない。半日もあれば駆け付けることができるというのに、もう三日も音沙汰ないのはそのせいだなきっと。連れてこなかった部下たちも、今頃は砦から身動きできないはずだ。なにせ、山賊退治なんかに俺を派遣するぐらいだからな。かなりの圧力で押し潰されている。向こうは向こうで修羅場真っ最中といったところか。なんとか間に合ってくれれば、援軍の芽もあるかな」
自分の考えに補足を加えるように、カサツシ中佐はおっしゃいました。
「軍は我らを必要としていない……と?」
「そういうことだ」
認めたくないことです。……それが上層部の意向なら自分は素直に受け入れるしかありません。軍によって生かされ、軍によって殺される実験観察部隊。その隊長たる自分は特に。
「――イフラ少尉。俺は死ぬつもりはない。お前と一緒にするな」
「…………。よくお分かりで」
「お前の表情は簡単に読める。そこくらいはヒオビを見習え。あいつの数少ない美点だ」
「ですがこのままでは死なざるをえません。発見されるのが先か、餓死するのが先か」
「食糧も尽きた。医務道具は使いきって久しい。水? 時が経てば雨が降るだろうな。それまで持てば、だが」
逆さ蕾は、カサツシ中佐が単身で敵陣を突破するための対軍兵器。多少の食糧などは、逆さ蕾の内側に備えています。およそ一週間分。二人で分け合うならば三日強といったところ。それを食い繋いで、ただ待機するのみ。自分が持っているのは、小さな水筒だけです。他の荷物は、全て逃げる時に捨ててしまいました。
「……はああぁ…………」
カサツシ中佐は深く、体内で合成される鬱屈を排出するように、深く息を吐きました。
「俺は久しぶりに、死の恐怖に絡めとられている。心臓の鼓動が治まる気配はまるでない。恐怖。酷く原始的だ。人間は、動物から遥か高次元へと階段を上ったのに」
右前花弁を上げ、右手を露出させます。その大きな手は、かすかに震えていました。
「なのに、俺はどうしてか胸が高鳴っているんだ。これこそ人間が内に秘めたる獣、それなのか。死を意識するから、酸素を肺胞で取り込む、当たり前の活動に魅力が出る。おお、俺はヒトの根源に触れることができたのか。この宝石があれば、地獄だって自我を保つことができようぞ!」
カサツシ中佐は戯曲のように大げさな台詞回しで、外に音が漏れないよう小さくではありましたが、心から叫びました。
「……無念が残るとすれば、俺では一人一人の人間を、自分で歩くべき道へ正すことができなかったことだ。微力ながら、偽善でもいいから、感情の持たない人形に魂を吹き込もうとさせた俺はしかし、やはり大人のフリをした子供であった。なんでもできると錯覚した」
自分の瞳の奥にあるものを見つめつつおっしゃいます。実観隊のことなのでしょうか。
「そんなことはありません。カサツシ中佐に恩を『感じない』者は、実観隊にはいません」
「そう言ってくれると、少しは気休めになる」
冗談ではなかったのですが、カサツシ中佐はそう取ってしまったようです。
実観隊は、自分から客観的に『観察』してみても感情がありません。持たないように教えられています。戦う機械に、感情がどうして必要となるのでしょう。徹底的に排除されてきました。……ですが、カサツシ中佐はそれを是としませんでした。芸術を見せ、演劇を鑑賞し、音楽を歌わせる。心が死んだ少年少女に新しい光を宿らすために。その努力は小さく実っているのですが、まだまだ実観隊は、人形にも等しいらしいです。「イフラ少尉が一番感情表現がまともだな」「っすね。モリさんの心は大空のようっす」などという会話を聞いてしまったことがあります。世間一般では、自分たちのこれは、感情とは呼ばないようです。
またまた沈黙。自分たち実観隊がなにを言っても衷心とは思ってくれません。それはカサツシ中佐に限ったことではありません。むしろそれでも幾分かましな反応なのです。ヒオビのように、無条件で聞く(自分限定ですが)者は少ないというより、いません。
「カサツシ中佐。一つ、訊きたいことがあります」
「なんだ。おそらく最後の機会だ。好きなだけ質問をしろ。なんでも答える」
「ありがとうございます。……大人は、どうして我ら実観隊を作り上げたのです」
「…………。こちらこそ、どうして今さら、そのようなことを言うのか興味があるな。質問を質問で返すようで悪いが」
「知りたいのです。自分がこの世界に、どの程度の影響を与えていたのか。自分は畑を耕したことなどありません。なのに日々の糧を得られるのは、誰かが自分の代わりに食糧をつくったからです。見知らぬ誰かは、自分の生を繋いでくれました。なら、自分は見知らぬ誰かの生も繋げたのでしょうか」
「なるほどな。その年頃なら、誰だって一度はそう思うものだ。そういった意味では、イフラ少尉もきちんと十四か。安心した」
そう前置きして、カサツシ中佐は語り始めます。
「――誰にも必要とされていない人間が、川の泡のように、ごく自然に生じたとしたら? まだあどけなく可愛らしい子犬ならば、拾って飼ってやろうという気の一つも湧く。だが、すでに成犬となり、餌を得るために牙を剥いて人を襲うようになったら?」
孤児。社会問題となっているのでしたか。その比喩なのだろう。
「人の安心な生活のために、駆除されるべきだろう。いや、成犬になって被害が出てからでは遅い。飼わなかったのなら、子犬のうちに始末しておけば。成犬のそれよりも、遙かに手が掛からないで片を付けることもできよう。さて、どのように処分をしたものか。……このような考えから、レチクラは十年ほど前、とある政策を打ち出した」
自分は、両親が亡くなり路頭に迷っていたのが三歳のとき。軍の入隊は四歳でした。時期的にも合致しています。
「死のうが誰も悲しまぬ天涯孤独な子供を集め、侵攻の壁とする。おお素晴らしい。なんと人道的だろう。本来ならいなくて同然の塵が、人の平穏な毎日を過ごすための礎となることができるのである。むしろ、壁は誇ってすらいいのだ! 貴様たちの矮小な炎で、我らに寒さを忘れさせてくれたまう。世のため人のため。嗚呼、それはなんと素晴らしい響き!」
――無論それは、子犬の意思を完全に無視した話です。
「……小さい頃から戦場の狂気に触れ、人を殺すことに喜びすら感じるように矯正させる。人ではなく、実験に利用される鼠。より効率のよい機械を作るためには、どのようにしていけばよいのか。より優秀な兵士の作成のために、『実験』をし、『観察』を繰り返す。……だから、実験観察部隊」
それが由来でしたか。なるほど、たしかに自分はカサツシ中佐と出会うまで、己の存在意義を考えなどもしませんでした。それこそが実験と観察を重ねた結果なのでしょう。兵士として完璧であるが故に、人間が人間である一面を、大きく削ぎ取られてしまいました。
「俺はレチクラの、このような思想が大嫌いだ。今は別の理由でも嫌いになったが」
否定だとか拒絶などではありません。ただの感情論。ですから、余計にカサツシ中佐の感情は、自分の心の手前まで肉薄してきました。
「お前もそう思うだろう、ヒオビ=バト曹長」
カサツシ中佐は、なにもないはずの空間へ向けて叫びます。
「なーに人のことを分かったように。……でも、異論はないんすよねえ、これが」
空気からすぅっと浮かび上がってきた、ように見えたのは、ヒオビでした。……罠が反応しない? いつ侵入してきたのです。ヒオビだからいいのですが、これが敵だったらと思うと。
「で、中佐はいつから僕に気づいてたっすか? ちょっち中佐の台詞に同意した瞬間、うっかり気を抜いたのは僕のミスっすけど、それがなきゃ?」
「確信はたった今だ。……本当、お前は俺でも知覚することはできんよ。いっそ魔の領域だ」
「まあこれが僕の特技っすからね。これが破られたらマジで泣くっすよ。男泣きっす」
驚いて声も出せないでいる自分に、カサツシ中佐とヒオビは笑いました。
「甘いなイフラ少尉は。こいつの隠密に気づけるようになれば一流だ。だから俺は二流だ」
「僕としちゃ、モリさんの驚いた顔も好きっすけど、敵意の目は違うっすねえ。侮蔑とか軽蔑とか見下しはアリっすけど。もっとちゃんとした登場をしたくて機会を伺っていたっすのに、どうしてくれるんすか中佐ぁ」
「奇を衒うな莫迦者」
そう言ったカサツシ中佐はヒオビの頭を叩きました。
「待ってくださいヒオビ。尾行されたりはしてないのですか」
「そんな間抜けでモリさんに迷惑掛けるわけないじゃないっすか。この辺りを警戒していた斥候は、発見できた限りで排除してきたっす。……意外にも男が多かったっすけど、大丈夫なんすかねえ。しかも剣一本しか持たされてませんでしたっす。まあ鍬とか鋤よりはマシかもしれねえっすけど……あんなの子供一人殺せればいい方っす」
「俺らが見たときはそうでもなかったが……露骨に作戦を変更してきやがったな。誘っているわけだ。ほぼ丸腰の兵を置き、そこを突破してもらうのを」
そこを突貫すれば、本命の罠に陥れると。
「この作戦を指揮している者は誰だ。女に出し抜かれたら、俺だって男泣きだ」
「例の若造、シャ=イサ軍務大臣っす」
「いい手際だ。まさに、俺だけを殺しにかかっている」
モヴィ・マクカ・ウィは最近、革命が起きました。それにより、女尊男卑な国であるのに、男が軍のトップとなる異常事態が発生。カサツシ中佐が勝利「に」誘導しているのに対し、彼は勝利「を」誘導しています。敵ながら評価するべきことは多々ありすぎるほど優秀。
前門にはモヴィ・マクカ・ウィの戦略家。後門には背中を狙う味方の槍。どちらにも逃げようがありません。
「さてヒオビ曹長。援軍はないと思っていたが、お前は来た。……光明を見出しても?」
「そんなことは飯でも準備しつつ話しましょうや。大丈夫、あちらさんも警戒が緩い時間っす。僕も腹ペコでしてっすね。みんなも腹空かせてるんじゃねえかなあって思って、詰め込めるだけ詰め込んできたっす。一応、実観隊全員の一日分。あ、実観隊は全員、生存を確認したっす。中佐とモリさんのように、いたる所に逃げおおせてるっす。中佐の指示待ちっすね。食糧と水を与えて、待機するよう中佐名義で言いつけましたっす」
ヒオビは自身の身長ほども膨れ上がっている背嚢をどこからともなく出現させました。中から三人分の戦闘食を出します。ヒオビは飄々とした口ぶりですが、とても疲れているようです。自分に一色渡した後、その場に倒れこみました。まだ体力はあまっていて、階級が下な自分が食事の用意をします。
「モリさんの料理ってだけで気力体力時の運が全回復っすね!」
「……まあ、そのくらいで労いになるなら、イフラ少尉にやってもらおうか」
調理の際に火の明かりと煙は避けて通れないものですが、ここには自分がいます。道具などなくても、魔により手を熱し、無音のままに加熱させることができます。そういった意味でも、調理係を自分が担当するのは当然でした。
「さて、そろそろ本題に入ってくれ。時間がもったいない」
「…………。残念っすけど、希望は打ち砕かれてるっす。中佐と実観隊が出撃したすぐあと、砦に将軍が来訪なさってくれやがりまして。くっだらねえ指示ばっかりしてきたんすよ。『なんの権限があって』と掛けあっても『これは命令だ』の一点張り。でもどんだけ理不尽なことでも、命令無視をすれば処罰されるのが軍。みんな怖いから砦から一歩も出れず、情報も封鎖されたままっす」
調理が完了するまでの時間を有意義にするため、口だけはしっかりと働かせています。
「僕は【蝙蝠】の本領発揮させてもらってたんす。闇夜に紛れて――ああ、昼だったっすけど、そっちのがかっちょええからそっちで想像してください――議会に忍び寄り、機密を盗んだら、出るわ出るわ。あ、これがその証拠の一部っす。他は頭に入れるのが精一杯」
ヒオビが軍服から、数枚の資料を取りだします。カサツシ中佐がそれを確認しました。
「……俺と実観隊の損失を、自国の安全とで天秤に掛けやがった。日和見主義のボケどもが。提案通りにするわけねえだろうが」
いつも落ち着いて物事に当たるカサツシ中佐が口汚く罵る様は、自分に酷く不安にさせます。
自分にもその資料がまわされました。頑張って紐解いてみましたが、半分も理解できません。自分は座学が得意ではなく、カサツシ中佐にいつも呆れられています。
「モリさんにも分かりやすく説明すると、まあ……お上の方々は、モヴィ・マクカ・ウィのお偉いさん方と、ある約束をしたんすよ。『カサツシ=ミケンシを見殺しにすれば、この戦争はそちらの優位な条件で停戦してやる』ってね」
「カサツシ中佐は、世間では英雄と称されているようではないですか。そのような大人物を殺せば世論の反応も大きくなるはずでは」
自分は必死になって否定の言葉を並べ立てます。
どうしてここまで、カサツシ中佐を守りたくなるのでしょう。
「報道機関なんて、国がちょろっと脅しを掛ければ簡単に屈するもんすよ。名誉の戦死を遂げたことにでもするんじゃないっすか?」
「ですが、カサツシ中佐のいないレチクラ軍なんて」
「さっき言ったろう。俺は味方にも敵がいると」
レチクラとモヴィ・マクカ・ウィ。双方ともに「カサツシ=ミケンシの戦死」が多大な利益をもたらす。この事実は。
「ま、中佐も悪いところがあるっすから、自業自得だと僕なんかは思うっすけど。敢えて黙ってたっすけど、特権を行使しすぎてるっすよ。なんすか、十四の娘が少尉って。モリさんに実観隊隊長として指揮権を握らせるには必要っすけど」
「どうせ俺は嫌われ役だ。少しでも箔をつけたかった。事実、正に転がってくれたことも案外ある。数少ない負は、今回のこれだな」
「笑いごっちゃねーっす。……と言っているうちに、準備はできたっすね。これを最後の晩餐にするの、僕は嫌っすねえ。帰ることができたら、美味しいもんをたらふく頂きたいっす」
「がっつりと食って、活力としたいものだ」
「そうっすねえ、どうせならまた、モリさんの料理が食べてみたいものっす」
炊きあがった玄米に、付け合わせのおかずを口に含みながら、二人は会話をする。
「(またあの塩と黒糖を間違えたものを食いたいのか)」
「(塩と砂糖なら定番っすけど、どうやったら色まで間違えるんすかねえ。そんなお茶目なモリさんも素敵っすけど)」
「(味に関しては、実観隊は舌が麻痺しているから仕方がない。……が、それで被害が出たからな、あれは)」
「(あー、モリさん、すっごく目をウルウルさせて『美味しいでしょうか』? なんて無表情のままに語ってましたっすからね。中佐が顔面蒼白にしながら飯を食うなんて光景を見たの、後にも先にもあれが最後でしたっすよ)」
「(そういうお前だって、プルプルしていたぞ)」
「(モリさんの初・手料理っすもん。料理の構成素が炭素で占められても、美味しいっすよ)」
なにやらひそひそ話をしています。自分に内緒で語り合うことがあるようです。ただし、その顔の様子から、まともな内容ではないことは自分ですら分かります。
「どうしたイフラ少尉。口数が少ないな。いつもならヒオビにちょっかいかけるくせに」
「作戦を考えています」
一刻も早く、カサツシ中佐を生き延びらせる方法を見つけなければ。本当は食事をする時間すら惜しいのです。ですが食事を取れるときに取れと教育をされた自分は、それに抗えません。
「堅いことを言うな。俺飯を食うときぐらい、面倒な話はしたくない」
「ですが」
「時にはユーモアも必要だ。明るく前向きに考えている者こそ、非常事態には生き残る可能性が非常に高くなるもんだ」
「人間、切り替えが大切っすよ。いつも型枠に身体を嵌めてたら疲れるっすからね」
「カサツシ中佐を、命を掛けてでも護衛するのが我らの使命です。遊んでなどいられません」
「じゃあモリさんが死んだとしたら、僕は追悼の席で泣きながら、これを朗読してやるっすよ」
そう言って、ヒオビは一冊の本を取りだしました。鍵のついた代物だ。
――あれは! 何人たりとも検閲は許していないというのに!
「当然、モリさんの部屋からに決まってるじゃないっすか。あー、ちなみにこいつを燃やしたところで無駄っすよ。もう僕は中身を見てしまいましたっすから。ぜーんぶ、この灰色の脳みそに詰まってるっすよ。証拠を見せましょうっすか?」
「ならヒオビを燃やすまで!」
「お、珍しくモリさんが怒ったっすねえ。そんな表情もなかなかにチャーミングなもんで、背筋に冷たい電流が――中佐! なにモリさんで緊縛プレイしてるんすか! ちっちゃなお胸が強調されちゃってすっごくけしからんことになってるじゃないっすか!」
「イフラ少尉がここまで感情を露わにするとは、少しばかり興味がある」
カサツシ中佐は、右前と左前花弁の内側にある、補助腕で自分の両腕を封じ込めます。カサツシ中佐の本物の両腕は自分の両足首を押さえこみました。身動きがまるでとれません。
「カサツシ中佐なんのつもりですいつものカサツシ中佐なら自分と共にヒオビにお灸を据えているでしょうこれは絶対に防衛しないといけない国境線なのです!」
カサツシ中佐もヒオビも、なにやら嫌な笑みを浮かべています。どちらも顔立ちは正反対に近いといいますのに、よく似た表情でした。
にんまりとしたヒオビは、堂々と声を張って、その本の一節を朗読します――
「赤い朝焼けに染まって走り抜ける こんな夜明け僕は認めなくて 明るい町並み こんなの虚構 振り返ると 道は狭く いつのまにか 僕が嘘に 嘲る未来の僕 誰かが隣を指さす 僕は振り向く 一筋の闇 これこそ今の僕 足が落ち着く居場所 誰も奪うな」
…………。
「まあそう気を落とすな。若いうちは、……ふっ、よく……ふふ……あることだから」
「僕はこのセンス、大好きっす!」
全身から力が抜けてしまった自分に、カサツシ中佐とヒオビが慰めの言葉をかけてきます。
いつだったか、カサツシ中佐は「芸術を嗜むぐらいの余裕は欲しいものだ。とは言っても、俺は才がないしな」などとぼやいていました。自分はそれが印象に残っていたのです。与えられた詩集を読んでいるときに、ふと閃いた一節がありました。それを書き連ねたものが……この本です。ちょっとした「曲」にしたまではいいのですが……なんだか恥ずかしくなり、封印していましたのに。だから机の奥深くに眠らせていたはずですのに。
「あのころに戻りたい……なにも考えずにいられた、このころに……」
胸元から一枚の写真を取り出す。四年ほど前に撮影した、三人揃って映っている唯一のものです。カサツシ中佐は外部に情報が流れるのを良しとしていません。世間では「カサツシ=ミケンシ」の名は新聞などで有名でも、顔はほとんどの人が知らないのです。
あの誕生日の一日。なんでもない一日でしたのに、今も昨日のことのように強く脳裏に焼き付いています。いや、焼きつけたのです。それだけ嬉しい出来事でしたから。
モシツを中名としているだけあって、実観隊隊員は戸籍がありません。誕生年月日も不明です。見かねたカサツシ中佐は、実観隊隊員の入隊した日を便宜的な誕生日とし、祝うようにしてくれました。その最初が自分の誕生日からだった、というわけです。
この歪な笑みをしている自分のように、不器用なままでいられたらどれだけ……。
「さ、若さ故に散っていったイフラ少尉のために。――真面目な話しをするぞ」
それを聴いた自分は、実観隊としての本能に擦りかえます。逃げでは断じてありません。
戦闘態勢を整えながら、小さな小さな会議を始めます。
「この陣中をただ突破するだけなら、俺とイフラ少尉の力をもってすれば、そこまで難しいことでもなかったりする。……突破するだけならな」
「後のことを考えれば、それって最善手とは言い難いっすね」
「だがとりあえずは、どうやって切り抜けるかを考察しよう。命あっての物種だ。まず、実観隊を回収してやらないとな。俺らだけで逃げ帰るわけにはいくまい。ただ、連絡手段がない」
「そこは僕の仕事っすね。ここに来るまでに位置をきちんと確認してきたっすから。伝令はお任せくださいっす。こういう時、魔が使えないってのは不便っすが、技も悪くないもんすよ。僕みたいな男にも見せ場ができるんすから」
ヒオビならできます。カサツシ中佐も自分も、全幅の信頼をヒオビに置いています。「モリさんのその目が欲しくて僕は頑張るんすよ!」と目を合わせただけで言われました。
「ヒオビとてこの状況下で実観隊の全員に接触するには時間が掛かるのでは?」
「んー……自惚れをしないで冷静に言うなら、絶対にばれないよう慎重に移動するなら相応の時間はかかるっすね。一秒でも早く動かしたいこの状態な今では好ましくないっす」
「ならば敵の注意を引きつけるまで。その矢面には俺が立つこととしよう。イフラ少尉は俺の援護。派手に暴れまわれば、実観隊もどこに潜伏していようが、こちらの動きを察知できるはずだ。それを合図としよう。そしてヒオビ曹長と実観隊で、逃げ道を作れ。退路を確保したら、俺たちもそこから脱出する」
単純ですが、それぐらいしかとれる作戦はありません。
「これで、逃げるまでの算段は立てられたっすね。……じゃ、生き残ることを前提にした場合、軍に戻ってどうするんすか? どうせ屁理屈捏ねて中佐を処刑するっすよ」
軍はカサツシ中佐を「殺したい」。そのカサツシ中佐がノコノコと生存し、帰ってきてしまったら? 王道と程遠い悪事も働いているのがカサツシ中佐です。それらの証拠を突きつけられたら否定するだけの材料を持ちません。
「思いついたが、回避するための手段が一つだけある。……俺が死んだとしたら、どうなるか? 死んだ者にどうやって刑罰を下す。まさか、死体を絞首するわけにもいくまい」
カサツシ中佐への実刑は行われないでしょう。こちらも屁理屈ではありますが。
「でもこの頓知を成立させるには、戦死の証明が問題点っすかねえ。『カサツシは死んだぞー』って叫んでりゃいいってんなら、世の中楽勝なんすけど。そうそう美味い話はないっす」
首でも差し出せばそれで十分でしょうが、人間にはそこまでの再生能力はありません。魔もそこまで器用に偽装させることはまずできないのです。
「逆さ蕾があーんなことやこーんなことになれば。でもそれってっすねえ、」
「確かに逆さ蕾が、でも、それは、」
みなまで口に出しません。出しませんが、自分もヒオビも意見を共にしています。
カサツシ中佐の武器でもあり代名詞でもある、【逆さ蕾】。負けることなど有り得ません。幾度にも渡る戦争を生き抜いてきた「相棒」。それを献上すれば、伝説が破られることを意味するのですが――、しかしその方法は、絶対にとってはなりません。逆さ蕾は勝利の象徴なのです。それが砕かれたその時は。
「それは……なんだというんだ? 『尊厳のためには絶対にしてはいけない』とでも?」
バキッと、枯れ枝のような気軽さで、逆さ蕾の花弁は右前と右後が砕け散りました。
使い手であるからこそ、その弱点は最大に知っている、そういうことですか。
「やろうと思えばこんな簡単に壊せるのにな。俺をよく守り切ってくれたことだよ、お前は」
儚く散った花弁。いろはにほへとちりぬるを。入隊直後に受けた初等教育を思い出します。
「かれこれ二十年近く頼ってきた。労わりたい気持ちもある。だがこいつに自我があれば、感傷は望まないだろう。然るべきときに砕け散れるなら、それこそ本望なはずだ」
実観隊隊長である自分よりも長く、そして強く、カサツシ中佐を守っていた逆さ蕾。その最後は、とても儚いものでした。
「こいつは一枚でも破損してしまえば、もう従来の戦術は取れんからな。これで俺の戦闘能力は数十分の一、といったところか」
目的のために、自らを弱体化させる。その選択を躊躇なく取れる、今のカサツシ中佐。
「敵はモヴィ・マクカ・ウィ軍。これを利用させてもらおう。女の多い戦場だ。死体の一つや二つが蒸発したところで疑問に思うものはいない。そこで役立つのが、逆さ蕾の残骸。逆さ蕾が折れれば、それは激戦を物語ってくれる。逆さ蕾を失った俺が生きているはずがない。俺を知る上層部であればあるほど信じる」
カサツシ=ミケンシを知らなくても、逆さ蕾なら知っている。そのような人は上にも下にも多いのです。本人の生首よりも、よほど信用度は高いでしょう。大切なのは、インパクト。
「死んだことの理由付けはこれでばっちり! ……なのはいいっすが、肝心の中佐は、逃げ切ったあとはどうするつもりっす? 生きているとバレたら暗殺者ぐらいは派遣されそうっす」
「そこは気にしなくていい。俺に考えがあって、既に手は打ってある」
「…………」「…………」
珍しく、自分とヒオビは意見を同じにしました。カサツシ中佐の気持ちが手に取るように分かったのです。初めてのことでした。
……ともかく、大まかな行動ごとの意味は、これで三人とも共有しました。
「それではカサツシ大隊、最後の作戦概要を説明する」
カサツシ中佐の口からその言葉を発せられると、自分もヒオビも、条件反射として勝手に背筋が伸びます。ただ、今に関しては、意識していつもより背中に一本の太い芯を通しました。
「イフラ少尉。俺とともに暴れろ。【為替】の使用を許可する。とにかく暴れろ。俺の死体が消失しても違和感などないほど徹底的に。そのうち実観隊も駆けつけてくれるだろう。モヴィ・マクカ・ウィ軍を殲滅する。ただし、必要最低限の殺傷でな」
「了解しました」
「ヒオビ曹長。退路を確保できたら、俺たちを待たなくていい。影に隠れ、本部まで行け。逆さ蕾を渡す。献上してこい。そしてカサツシは戦死したと報告しろ」
「中佐の『首』、しかと承りましたっす」
花弁一枚だけでも、平均的な大人の体重ほどもある逆さ蕾。それほどのものを、ヒオビは歯を食いしばりながら、絶対に地面へと落としません。敬愛するカサツシ中佐の尊厳を、地の底へつけるのを防ぐように。
「そして、俺。俺は時間がきたら、とにかく暴れまわる」
説明を終えた後、三人揃って、深く頷きました。
「作戦開始時刻は正午ちょうど。それまでに各員、定位置につけ。準備と休息は怠るなよ」
発令した瞬間にヒオビは、たしかに自分の目の前にいるというのに、その生命を消しました。それも数秒ほどのことです。それさえ過ぎてしまえばもうヒオビは、自分の眼球が脳へ通達している映像からも消えた。
最後にヒオビは、自分だけに見えるよう「中佐を生かさせてほしいっす」とサインをした。
「もう行ったか、俺の『観察者』は。……是非、俺の味方にしたかったな」
カサツシ中佐が自嘲気に笑いました。
「ヒオビは味方ではないですか」
「そう思うなら結構。あいつはお前のことであれば、誇張なしに命令すら破る、軍人として失格な男だ。が、感情と現実は別だ」
「どうしてヒオビは、命令を破るのでしょう」
「そんなの簡単だ。ま、理由は言わせるな。男として、あいつの気持ちも分かる」
その気持ちとやらは、自分は受け止めることができません。嫌いだからなどではありません。理由を説明しないといけないとしたら……そう、感情がない自分には、想いが重いのです。
だからこそ、せめて自分は、ヒオビの期待には答えたい。決して口にはしなかった心意気を、自分はたしかに感じ取りましたから。
「…………。待った。カサツシ中佐と呼ぶのはやめろ。もう階級など必要なくなる」
「了解しました、カサツシ中佐」
「ヒオビ曹長のような反応をどうも有難う」
「一生に一度でいいからやってみたいと思っていましたので」
「それはそれで冗談のようで冗談にならないような」
軽口というものは、ここまで胸がスッとするものなのですか。香辛料代わりに丁度いいです。
「カサツシは、生き残ることができたらなにをしたいですか――」
……死ぬつもりなら、死ねない状況を生み出してやればいいのです。
なんとしてでも、自分が行動しなければ。これは、自分に纏わる全てへの恩返し。幸いにも、自分に関係の深い者は、全員がこの戦場で「戦っている」のです。
実観隊隊長。今は、その実力に自惚れさせてもらいます。
自分と、ヒオビと……カサツシのために。
全員が、笑っていられる明日のために。
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