第14話 灰

俺たちは村の門の前に立つ。


ファインは俺の右腕を抱き締め辺りをキョロキョロ警戒している。


『コンコン』

俺は木の小さな門を叩いた。


門の小さな窓から男が顔を出す。


『どうされましたか?』


『戦いで戦死した人の火葬を、したい。』


『ああ、わかった、まだ集団火葬はしていない。急ぐといい。』


俺たちはあっさりと村の中に入った。


村の中は建造物が石造りの教会いがい無い焼け野原になっていた。





俺たちは教会の近くにある死体置き場にきた。


死体置き場には泣いている子供、大人が沢山いた。皆死体を見ている。


『あ、』

ファインは俺の右腕を掴むのやめて一体の死体の方へ走っていった。


俺はファインの後に続く。


死体を俺は見る。

その死体の顔は見覚えのある老人の顔だった。


『う、ううう、ー.,.....おじ、いさん』

ファインはひざまづき老人の顔をみて泣いている。


俺は爺さんの使っていた短剣を持った。




俺たちのほうにマスクをした人がくる。


『お嬢さん、悲しのはわかるけど、退いてくれるかな?』


ファインは聞こえていないようで離れようとしない。


マスクをした人は俺に向かって。

『君は彼女の連れかね?頼むが、彼女をどかしてくれないか?』


『ああ、わかった。』


俺はファインを掴んで爺さんからどかす。


マスクをつけた人は爺さんを持って歩き出そうとした。


『いや!持っていかなで、』

ファインはマスクをつけた人に向かって叫ぶ、

俺はファインを掴んで爺さんの所は行くのを全力で抑さえた。


『はーわかった、火葬場まで君が運びたまえ。』

マスクをつけた人は言った。


俺はファインを抑さえるのをやめ、ファインは爺さんの所に行く。


ファインと俺は火葬場までの道を教えてもらい歩き出した。




火葬場に着く。


ファインは爺さんの死体を持っている。


教会のシスター二人がきた。


『死体を渡してください。』


ファインは爺さんを抱き締めたまま離さない。

俺はファインから爺さんを取り上げシスターたちに渡す。


ファインを抑えながら爺さんが他の死体と一緒になるのを見た。




一人の神官服をきた女が

聖書の復唱をし、火のついた松明を死体の山に入れた。


死体にはあらかじめ油をかけていたためすぐに火が回った。


死体の山は徐々にその形を変えて燃えて行く。


もう爺さんがどこにいるのか火の中でわからない。


ファインは黙ってその様子をみていた。

涙はなく呆然と


燃えた灰は青空に高く高く舞い上がる。




全ての死体が燃え終わり、


少しの骨の残骸が残った。

ファインはそのうちの一つを持った。


『ありがとう、お爺さん。』

ファインはそう言いその残骸を抱き締めた。









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