第6話 やらかし

爺さんは俺に鍬を、ファインに袋を渡した。ファインは袋の中身が気になるらしい。

袋を勝手にこじ開け、中身を食い入るように見ている。

俺は爺さんに尋ねた。


「爺さん、俺たちに何させる気なんだ?」


「お主わからんか?畑仕事じゃよ。」


「ああ、それは分かっている。作業の内容を聞いているのだ」


「ほう、まー種まきじゃよ。簡単じゃ、そう警戒するんじゃない」


「そうか、種まきか」


ファインは種まきについて知らないらしく。袋の中身を見るのをやめ、興味津々な様子で爺さんに聞いていた。

「お?じさん?その種まきてなに?」


「ほう、君は知らないのかね?、まあーやってみればわかる」


「そう、なら今直ぐやりましょ!」


「やる気があるのう、よし、いくか。」




俺たちはある畑についた。


「よし、君たち、着いたぞ」

俺たちは畑の縁に着いた。

「ああ」

「わーここが?土だらけ!、、あれ?ここさっきのとこみたい。」

ファインは畑に入り、はしり回りながらはしゃいでいた。


『ほほ、元気がいいのう、わしにも欲しいわ』


ファインは程なくして戻って来た。

『で、何をすればいいの?』

ファインはあんなに走り回っていたのに汗の一つもかいていなかった。


『そうじゃのう。まーまずはわしが手本を見せよう。』

爺さんはそう言い鍬を持って畑を耕し始めた。


『こうやって奥の方の硬い土を持ち上げて柔らかくするんじゃ』

爺さんは汗を掻きながら耕し方を説明している。


何回か鍬を動かしたあと鍬を土に刺したままこちらに来て俺に向かって言う

『ほれ、お主、わしがしたみたいに耕してみい』


『ああ、』

俺はしぶしぶ爺さんの言うのとを聞いて、爺さんの見様見真似で鍬を動かした。

爺さんは座りながら俺に、あーしろ、こうしろ言っていちいち文句をつけてきた。

俺がキレそうな時、ちょうどファインが俺に近寄って来た。


『レオばっかりズルい!私もしたい!やらせて!』

俺はもうやりたく無かったので、ファインに鍬を渡した。

ファインは鍬を、勢いよく刺しては、戻し、また勢いよく刺して耕そうとしている。


『ほう、うまいのう、』

爺さんはファインを褒めた。

『本当ですか?!』

ファインは嬉しそうに答えた。調子に乗ったらしくさっきよりも早く、勢いよく、耕し始めた。



ファインが畑の3分の1を耕した頃、ファインは急に作業をやめ、こちらに戻って来た。

ファインは何か思いついたらしく

『私、もっといい方法思いついたわ、私がドラゴンに戻って爪で畑を耕せばすぐ終わるわ!』


俺も爺さんも驚いて何も言えなかった。


『だから、私がドラゴンになって、』

俺はこれ以上はまずいと思い

『おい、ファイン』

俺はファインに近づきファインの耳元に爺さんには聞こえないよう小声で、

『あの爺さんはお前がドラゴンだって知らないだぞ、驚いて村の連中に知らせたらまずいんだぞ!』

俺は思わずファインに対して強気に出てしまった。

ファインは爺さんが自分がドラゴンだと知らないことを思い出し、焦り始めた

『どうしよう、バレちゃった、、、あ、でもレオみたいに理解してくれるかも』


爺さんがこちらに近づいて来た。

『お主たち何をこそこそ話しておるのじゃ?、さっきドラゴンとかなんとか言っていたが?』


俺は焦って何も言えなかった。

ファインは爺さんに向かって言う。

『実は私ドラゴンなんです。だからそのー』

俺はファインに小声で

『ファイン、なんで言うんだよ。』

『だってもう隠せないわ、もう言うしかないのよ』


ファインはまた爺さんに言う、

『だからそのーえーとー』


爺さんはようやく答えた。

『あーもうよい、お主はドラゴンなのか?それならドラゴンになってみい。』


ファインは焦りつつも

『は、はい』




そしてファインはドラゴンに変身した。

ファインが変身た様子を見て爺さんは

『あはは、こらーおったまげた、本当にドラゴンだったんじゃな』


『はい、私ドラゴンだったんです。隠していてすみません。』




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