第28話

「つまり?」


『つまりその~、森の中を移動中に襲撃するという当初のプランは実行できなくなっております』


「読み違いもあるだろうがしかし困ったね」


「異世界が舞台なんだし仕方ないよ!」


「初めての試みだから全てが上手く進むはずもないわ」


『暖かいお言葉ありがとうございます!

 しかしながら! 私と致しましても皆様に失望ばかりお届けする訳にもまいりませんので、密かに代案を準備してございます』


「ほぉ」


「やったね!」


「どんなのかしら」


『その代案につきましては次のラウンドでの説明でよろしいでしょうか? このラウンドでは関係ございませんので』


「了解した」


「楽しみにしてるね!」


『それでは改めまして今回の襲撃者は……ゴブリンリーダー3体にゴブリンが50体、そしてオーク1体です』


「ついにオークが来たか!」


「オークは食べたら美味い系?」


『はい。売り物になるぐらい美味しいですね。

 ここでオッズを公開します!』


①…1人 4倍

②…2人 5倍

③…3人 6倍

④…4人 8倍

⑤…上記以外 3倍


「前回の防衛戦の結果が反映されてる感じかな」


「今回もさらに難しいね!」


「gs君はオッズが公開されると毎回同じこと言ってないかしら?」


「だって本当に難しいと感じているからね!」


「襲撃側で言うといかに投擲攻撃による被害を減らせるかなんだが……

 例えば死体を盾にするとかそういう細かい指示は出せるのかね?」


『あくまで出場者を襲うという仕掛けや仕込み以外の細かい指示出しはできないようになっております。

 それができてしまうとこちらで操るのと大差なくなってしまいギャンブルの公正さが損なわれてしまいますので』


「そうか……」


「第2ラウンドの時のように2階から回り込むのも有効だと思うのだけど、今回は出場者側が事前に手を打っているんだよね」


「だけどバリケードそのものは大きい物体を積み重ねただけだからどかすのに苦労するとも思えないわ」


「バリケードの前に撒いたガラスの破片がどの程度有効かに懸かっているね!」


「魔物は靴履いてないから結構効果的なんじゃないか?」


『今回はガラスの破片の効果をどう見積もるかで最終的な予測も変わってきそうです。

 それではベットスタートしてください!!』


「ガラスの破片とか掃くなり上から物を被せるなりで対処できるのだが、魔物にそこまでの知能はないのか」


「案外また正面同士でぶつかっての殴り合いかな」


「そうなると戦い方を確立している出場者が有利になるな」


「いくら数が増えてもあの守りを突破するのは厳しいよ!」


「みんな出場者有利な予想かしら」


『オープンします!』


①…1人 4倍 ge2000p

②…2人 5倍 gs1000p

③…3人 6倍

④…4人 8倍

⑤…以外3倍 ga3000p gn2000p


『さぁ、出揃いました。まずは……

 gaさんとgnさんは0人を予想してという認識でよろしいですか?』


「そうだね!」


「もちろんだ」


『完璧に防衛すると読みましたか。

 次は1人ないし2人の犠牲者が出ると予想したgeさんとgsさんはいかがですか?』


「2ラウンド連続しての犠牲者なしはないと思ってね」


『2人と予想したgsさんのお考えは?』


「4ヵ所のバリケードのうち1つぐらいは突破されると予想したわ」


『それでは結果を見てみましょう』









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===体育館===

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 カンカンカンカンカンカン!! カンカンカンカンカンカン!!


「来たぞ!」


「見張り! ガラスの破片に気を付けて戻れ!」


「投擲準備!!」


 奴らが襲ってくる時間は過去3回とも深夜1時~2時過ぎだったので、この時間は特に警戒を強めている。

 前回の襲撃で腕を失った田畑トシキは今回は後衛に回ることになっている。まだ傷口が塞がっていないし痛みも酷いので後衛でも重要度の低い位置だ。本来なら寝かせておいてあげたいのだがそんな余裕はないし、2階を見て階段を突破した敵が来ないか警戒だけでもして欲しいのだ。


「よし! 放てぇぇぇぇ!!」


 敵を十分に引き付けてから投擲を開始した。

 前回襲撃を撃退した際の戦利品である刃物も30本ほど当然追加してあるので、残弾は増えている。

 今回は一斉に投擲するのではなく、信長の三段撃ちのように左右で2人ずつタイミングをズラして投擲している。

 これは前回ゴブリン1体に何本もの刃物が刺さって効率が悪かった反省からこのような方法に変更したのだ。射手が1人減って(田畑トシキのこと)6人になったので丁度良かったとも言える。

 投擲物を補充する係も前回は射手1人につきマンツーマンで付いていたのが、射手2人に1人付くよう変更された。理由は同じで1秒2秒を争って大量に投擲する必要がないからである。

 さらに両サイドに1人ずつ、正面に3人後衛女子を配置して鉄棒で届く範囲のゴブリンの止めを刺すようにしている。正面中央は薙刀経験のある職員の井口さんにお任せした。

 これにより鉄棒が届く範囲の投擲が命中したゴブリンは続けて狙う必要がなくなり、敵を倒すスピードがかなり向上した。

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