第23話
『今回の第3ラウンドは東への移動グループが抜けました体育館を襲撃します。今回の襲撃者はゴブリンリーダー2体にゴブリンが32体です。そして今回も引き続き出場者の死者数を予想して頂きます』
「山狼がいなくなっちゃったね」
「ゴブリンリーダーが2体ということは2つの部隊ということかな?」
「前のラウンドのゴブリンリーダーは唯一の戦果を上げたけど部隊を指揮していた感じではなかったからなぁ」
「知能がどうのこうの言っていたのと関係ありそうだね!」
『ここでオッズを公開しますね』
①…1人~2人 5倍
②…3人 3倍
③…4人 4倍
④…5人 5倍
⑤…上記以外 10倍
「賭け率的には3人か4人辺りを本命と見てるのか」
「今回はさらに難しいね!」
「体育館に残ったのは15人でしょ。ケガ人もいるし女子も多い。厳しいかしら?」
「でも女子も戦えるように練習してたよ!」
「2日程度の練習で何とかなるのかしら」
「戦力的には主力の3人がいないのは痛いな。3年生の剣道経験者は死亡。1年生の2人は移動組だ」
「襲撃も3度目だしそろそろ慣れてもいい頃だよ」
『さあ! ベットスタートしましょう』
「悩むわね~」
「決めた!」
『皆さん終了しましたね? ではオープンします!!』
①…1人~2人 5倍 ga1000p
②…3人 3倍 ge2000p
③…4人 4倍 gn1000p
④…5人 5倍
⑤…上記以外 10倍 gs1000p
『ここは10倍にベットしたgsさんから伺いましょう。そう言えば第1ラウンドからずっと⑤のその他枠ですね』
「これまでは0人を予想して賭けてたんだけど今回は6人以上の犠牲者が出ると読んだわ」
『そのお心は?』
「また前回のようなマズイ守り方して大量に死者が出ると予想したの」
『なるほど。当たれば大きいですね。
同じ場所へのベットとなるとgaさんとgeさんもですがいかがですか?』
「特に意識して同じ場所に賭けてないけど、ゴブリンリーダーが2体いるからまた1人か2人やられちゃうと思って!」
「こっちは逆に意図して同じ場所に賭けてるな。理由は特にないよ」
『では最後にgnさんにまとめて頂きましょう』
「まとめるのか?
あー、第2ラウンドまでの主戦力だった3人を欠いた中で女子を大量投入する守りがどの程度機能するかが試されると思う。
個人的には厳しいと読んだが、一致団結できれば乗り切れる目もあるかといったところか」
『gnさんありがとうございます。それでは結果を見てみましょう』
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===体育館===
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カンカンカンカンカンカン!! カンカンカンカンカンカン!!
また深夜に襲撃だ。
昨日はなかったのに。
飛び起きて決められた位置へと急ぐ。
「打ち合わせ通りに行動してくれ! 女子は刃物を持って男子の後ろで待機だ!」
伊藤の指示が飛ぶ。
絡繰達が出て行った後で伊藤が戦闘指揮を任せてもらえないかと言ってきた。
リーダーとの掛け持ちは大変だからと。
その気持ちに嘘はないのだろうが、実際のところはおまえは戦闘指揮には向いてないと言われているに等しいだろう。
最初は悔しさもあったが今では戦闘関連を全て引き受けてくれる伊藤には感謝している。
なぜなら自分の防衛案のまずさから早川先輩を死なせてしまったことにショックを受けたのと、戦闘面での主力が早川先輩・絡繰・近藤の3人であったことに気付いてしまってどうすればいいのかわからなくなってしまったからだ。
伊藤は絡繰が主張した扉を開けて待ち構える作戦を採用して更に進化させた。
「まだだぞ~まだ~よし! 放てぇぇぇぇ!!」
近付かれる前に倒してしまおうという投擲作戦である。
大半のゴブリンが持っていたナイフとも包丁とも言えないような刃物を投げつけるのだ。
他にも武器として使うには短い鉄棒や鉄アレイまでも投げつけた。
投げたら後ろに待機している女子が次に投げる物を渡して投擲間隔を短くする。
2年生と1年生の男子7人での投擲攻撃は思っていた以上の効果があった。
バタバタと敵を倒していき、先ほどは通常のゴブリンより大きいゴブリンを鉄棒で串刺しにして倒した。
このまま倒しきるかに思えたが、そこで弾が尽きた。
「近接戦だ! 構えぇぇぇぇ!!」
伊藤の指示に男子は下に置いてある武器と盾を持つ。
武器はゴブリンから回収したショートソードかあるいは短めの鉄棒。
盾はパイプ椅子を折り畳んでテープで固定したものだ。
女子は鉄棒で前衛の男子の間からゴブリンを攻撃するのだ。
ちなみに鉄棒は先端を削って槍のようにしてある。
全然綺麗には削れてないのだが、要は敵を傷つけられればいいので十分である。
「前衛は防御主体だ! 攻撃は牽制目的で十分だからな!!」
攻撃は後衛の女子がメインだ。
後衛なので鉄棒で突くことに専念できるということもあるだろうが、伊藤としては女子に敵を殺すことに慣れてもらう狙いがあるように思う。
昨日からこの戦い方を練習する中で自分が感じたことだ。
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