第24話

 ゴブリンの攻撃をパイプ椅子の盾で防ぎショートソードで斬る。

 浅いが女子の後ろからの一突きで絶命したようだ。

 女子が鉄棒を抜いてゴブリンが崩れ落ちるとこを前蹴りで蹴とばした。


「ぎゃあ!」


 誰かやられたのか?

 声からして1年の男子みたいだが。

 次に出てきたゴブリンの相手をしながらチラっと横目で見る。


「そいつを下げろ!! 井口さんお願いします」


 井口さんは職員で薙刀経験者だ。

 このメンバーの中ではトップクラスの戦力だ。

 その井口さんがケガした男子の替わりに前衛に入ったようだ。


「グワッ、ギャ、ギュゥ」


 女子の一突きで動きの止まったゴブリンの首にショートソードを叩きつけて倒す。


 後衛からの鉄棒による女子の攻撃は前衛の回避スペースが制限されるというデメリットがあるものの、それを補って余りある攻撃力を発揮していた。


 後続からゴブリンが来ることもなく手の空いた俺は、伊藤と井口さんが相手している大きなゴブリンの背後から斬り付けた。


 大きなゴブリンは剣を持っていないほうの腕でガードした。

 そこそこ深く斬れたのだが骨に当たって弾かれる。

 そこへ後衛からの突きが足に刺さり、井口さんの上段からの攻撃が大きいゴブリンの首筋にヒットした。


「グギャッ、ギャゥ、ギュァァァ」


 伊藤が喉元を突き刺して止めを刺した。



「お、俺の腕、腕が! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い!」


「トシキぃ! グスッ、大丈夫?」


 ケガをしたのは1年の田畑トシキか。

 見ると左腕が肘のところからバッサリと斬り落とされている。


「痛てぇ、痛てぇよぉ、俺の腕……俺の…」


「トシキぃ、痛いよね? これ、トシキの腕だよ」


 同じ1年女子の江藤ルリが斬り落とされた左腕を田畑に渡してる。

 確か2人は付き合っているのだったか。


「つかねぇ、腕がくっつかねぇよぉ、ルリぃ」


「病院行かないと無理だよぉ」


「痛てぇ、痛てぇよぉ……」


 ゾクリ!

 今田畑を見る江藤ルリの表情がすごく冷めきった……

 何というかゴミを見るかのような目をしてたぞ。

 ちょっとヤバイ子かもしれん。



「ケガ人が出てしまったのは残念だが、みんなよくやってくれた!

 初めて犠牲者なしで襲撃を乗り越えられた。

 さあ! 武器を回収して死体を外に運び出して休もう!」







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===3round after===

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『結果発表~パチパチパチパチ~!!

 このラウンドも的中者が出ました!

 gsさん高倍率の的中おめでとうございます!!』


「ありがとう。

 当たったのは嬉しいけど予想とは真逆の結果での当たりだから微妙よね」


「今回は、というよりようやくきっちりと守ったね!」


「うん。良い守り方だった」


「あの投擲攻撃は凄かったな」


「あれは圧巻だったわね。半分以上はあれで殺されたんじゃないかしら?」


「女の子が後ろから突くのも効果的だったよ!」


「そのおかげで前衛は防御主体で戦うことができる。攻撃力を落とさずに被害を減らせる有効な一手だよ」


「力のない女子でも棒を手や足に絡ませて相手の動きを妨害できるから良く考えられてると思うわ」


「我々のほとんどは一気に崩れると予想したけど、逆に一気に戦い方を向上させたのには素直に感服するよ」


『それではこのラウンドまでの結果を表示します』


gs…10000p

ge… 8000p

ga… 0p

gn…-2500p


「一つ聞きたいことがあるんだがね」


『gnさんなんでしょう?』


「今回のゲームが終わった時にもし出場者が生き残っていたら彼らは地球に帰れるのかね?」


『私共が関わる範囲でのことではそれはあり得ません。

 別世界からの転移はその転移元が相応の代償なり対価を支払わなければなりません。異世界側から地球に転移する場合も同様です。

 そして異世界側が彼らの為に対価を支払う理由も義務も何もありませんので……』


「ふむ。関わらないとこでは可能性はあるということなのかね?」


『はい。以前申しましたように想定外の能力やスキルに目覚める可能性があります。それが転移に関するモノということもあり得る訳です。

 さらに異世界側に転移を可能とする何かがあるかもしれません。私も異世界の全てを把握してる訳ではございませんので』


「ということは彼らがゲームの途中で独自に転移できる能力なり方法を見つけて地球に帰還するということもあるってことか……」


『確率的には極めて低いでしょうが否定はできません』


「ハイハ~イ! 僕からもいいかな!」


『gaさんどうぞ』


「ムロガの街だったっけ? そこに辿り着いた人達を対象としたゲームはやらないの?」


『2つ理由がございます。まず1つは、前回までもそうだったように出場者が分かれた際には基本的には人数の多いほうを対象とさせて頂きます』


「そういえばそうだったね!」


『もう1つは冒頭でもお話ししましたが、移動時期がこちらの想定を超える早さだった為に街や国といった人の社会を舞台にしたゲームの準備ができておりません。

 単純に魔物を操るのと違ってどうしても複雑な仕込みが必要ですので少々お時間を頂くことをご了承ください』


「わかったよ!」

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