第18話
「さて……。道を発見いや、確認できた訳だが当然ながらそれが目的ということではなく、最終的には人里を発見してそこで暮らしていく目処を立たせることだ。
まだまだ先は長いので決して気を抜かないように」
「おう!」
「わかったよ!」
「生活のことを考えると先は長いか……」
「これからあそこの道まで移動して調査に移るが、この世界の人間と接触する可能性も十分に考えられる。
何もないのに武器を構える必要はないが、いいか、決して油断するな。安易に味方とは思うな。敵かもしれないと常に警戒しろ。
いきなりバッサリと斬り付けられることも想定しておけよ」
「異世界モノだと最初に遭遇する現地人は大抵味方だぞ?」
「だと…いいがな……」
「ああ!!」
「佐伯どうした?」
「人に会うかもで気付いたけど、私達この世界の言葉がわからないじゃん! どうすんのよ!」
「近藤解説よろ」
「何故か俺が異世界事情担当に……」
おまえが1番詳しいだろうに。
「最初にこの世界を異世界と認定したのは近藤君だしね!」
「まぁいいか。あーこういう場合は大概言葉は通じるようになっている。文字が読める、書けるはケースバイケースだが。それらは主人公が異世界語を望むケースと普通に日本語が通じるあるいは勝手に翻訳されてるケースに分かれるな。
もちろん異世界語を理解できない場合もあるが、そういう時でも魔法や魔道具で一発で解決だったりする。
俺が知る中で最初から異世界語を勉強して習得した作品は1つだけだ」
「ねぇ、つまりどういうことなの?」
「つまりそれなりの確率で言葉は通じる……かもしれないってことだな」
「なぁ近藤、金とか仕事はどうなるんだ? 生活するには金がないと……」
加川は異世界モノ知らないな。
コイツはリア充タイプでイケメンというほどではないもののおしゃれさんだ。
「こういう場合は定番なのが冒険者ギルドに行って冒険者になることだ。
様々な依頼を受けたり魔物を狩ったり狩った魔物の素材を売ったりする仕事だな」
「友達がゲームしてたのを見たことがある。なんとかハンだったか。あんな感じか?」
「ざっくり言うならだな。後は商人になるという手もあるが、その為には地球の商品が手に入るネットショップ的なスキルが欲しいな」
「スキルとかあるのかな?」
「冒険者ギルドに登録する際に鑑定してもらえる場合がある。それで自分がスキル持ってるならわかるぞ」
「でもでも! 昨日話した時私達スキルなさそうって感じだったじゃん!」
「チートスキルはないだろうな。でもそこそこのスキルを持ってる可能性も……」
「そのスキルっていうのがないとどうなるんだ?」
「スキルというのは様々な効果があるものが多種多様にあるんだが、異世界モノの定番だと戦闘能力を飛躍させるものが多い。それがないとなると……
戦闘はかなり厳しいものになるのは覚悟しないといけない。例えば剣術を一から学ぶとかそういう努力が必要になってくるな」
「むぅ……」
「私に剣術なんてできるかなぁ」
「とりあえず移動しよう」
道を目指して歩き始めた。
ポリタンクの水はもう3Lほどなので2人で担ぐ方式をやめて1人ずつ交代で持つことにした。
「あと加川、金に関しては初期資金はなんとかなる可能性は高い」
「そうなのか?」
「ああ。俺らの持つ所持品は異世界の人間からしたら未来の品=オーパーツになるからな。高値で売れるだろう。この世界が中世の文明だったらだけど」
「スマホとかめっちゃ高く売れそう!」
「佐伯、スマホを売るのはダメだ。それどころかこの世界の人間にその存在すら知られてはいけない」
「ええぇぇ! そりゃあ私も売る気はないけどさ、動画とか見せて驚かせたいよぉ」
「スマホの充電は体育館にあるポータブル蓄電池を利用するしかない。
強欲な権力者の耳にでも入ってみろ。俺達を拷問して情報を引き出して体育館を襲撃するかもしれないぞ」
「うわっ! そんなこと……ありそうなのかなぁ」
「そういうことを含めて売る物を吟味しないといけないな」
「無難なのはクラッカーと羊羹か? 食べられてしまえば証拠は残らないのだし」
「そうなんだが、問題はそれらがこの世界の人にとって珍しくても果たして食べ物が高く売れるかどうかってとこだな」
「1度試食させる必要もあるだろうし、値段的にはあまり期待できなさそう……」
「他は……、カーペット・文具類・レインコートあたりか。タオルや毛布も売れるかもしれないが高く売れるかというと微妙か」
「買い叩かれないように注意しないとな」
「ねぇ、ジャージや衣服も高く売れるんじゃないかな?」
「それもあったか。なら靴もだな。どの道この格好だと目立つからこの世界の服や靴を買わないといけないし」
20分程歩いて道に到着した。
南北に伸びている道は北は山脈のほうに続いており、南は東へカーブする感じだ。
道自体はアスファルトなんてことはなく、石畳や砂利道でもない。
田舎にある農道のような普通の土の道で
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