第16話

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===2round after===

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『結果が出ました、確定です!

 死者は1人!

 的中させたgaさんおめでとうございます!!』


「やったね!」


「ちゃんと防衛してたら犠牲者出さずに勝てたでしょうに、どうしてわざわざあんな守り方を選ぶのかしらねぇ」


「ほら、直前の話し合いでちゃんとした防衛案出した子が反感買ってたから」


「命が懸かっているのに感情論でアホな選択するなんてバカらしいわ」


「リーダーの子がちゃんと頭下げて1年の子に任せればまだ立て直せると思うよ!」


「あの部長君にそれができるかしら?」


「今回死んじゃった3年が生きてリーダー引き継げば可能性あったかもしれないけどねぇ」


「奥の2人無事だったね」


「襲撃側が奥まで行かずに途中の階段に行ったのがね」


「それよりその何とか君が東に移動したらどうするの?」


『その件は何人になるかもまだ判りませんので次のラウンドで』


「途中に魔物はいないの? そう言えば探索隊が外に動物がいないとかなんとか」


『それら含めて次のラウンドで説明させてください。

 では2ラウンドまでの結果を表示します』


ge…10000p

ga… 1000p

gs…-1000p

gn…-1500p









 見張り番を終えて体育コートに戻ると、どんよりとした空気が漂っていた。

 各自で座っており、特に2年は傷の手当てをしている。

 俺は全員を見渡し、


「東へ向かう志願者はいるか?」


「行くぜ」


 近藤が立ち上がる。


「わ、私も!」


 佐伯も立ち上がった。

 ぶっちゃけ2人は手を挙げてくれると思っていたものの、実際志願してくれると凄く嬉しい。


「俺も行こう」


 加川か。

 実戦経験も積んだし来てくれるなら心強い。


「私達もいいかな?」


 !?

 別室の職員の高山さんと前川さんだ。

 意外ではあるが、


「構いませんよ。他にはいるか? ……いないな」


「待ちなさいよ!」


 声の主を見ると昨晩…というより先ほど一悶着のあった菅原洋子だ。


「何か用か? 言っとくがお前らは連れて行かないぞ。

 俺の陰口叩いてるの知ってるし」


「くっ。……逃げるの?」


「は?」


「逃げるのかって聞いてんのよ!

 ここで戦ってあのゴブリン共に勝とうとは思わないの?」


「既に2度撃退して勝ってるじゃないか。

 人数が減ることになって不安にでもなったか?

 お前ら自身が選択した結果だ。自己責任だな」


「守れなかったくせに……」


「なんだ?」


「……佳奈を守れなかったアンタが憎い!!」


 またそれか。

 コイツもうおかしくなっているな。


「せめて殺した側を憎め。これ以上は付き合い切れん」


 俺は手当を終えて座っている部長のとこに行き、


「部長、移動します。持てるだけの物資を6人分の中から持ち出しますがよろしいですね」


「ああ。構わない」


「東に行っても何もないようなら3日か4日で帰ってきます。もし帰って来ないなら人里へ向かったと解釈してください」


「……わかった」


 志願者の下に戻り指示を出す。


「まずはアルファ化米でおにぎりを作るぞ。昼・夜・明日朝の3食分だ。その後物資の搬出と自販機からも飲み物を持って行こう」


「クラッカーはきつかったからね!」


「毛布とかもいるよな」


「かなりの荷物になりそうだ」


 館内にある台車を外で使うのは厳しいか。

 水とか重い物を運べると便利だったんだが。



 結局持ち物は各個人で、

 水6L

 自販機から各種ペットボトル500ml×2

 クラッカー・羊羹・ゼリー飲料・粉ミルク(キューブタイプ)・アルファ化米

 歯ブラシ・タオル・毛布・アルミレスキューシート・カーペット・ブルーシート

 アルファ化米のおにぎりが3食分と女性用生理用品(昼夜2種類)となった。


 東に向かうグループ共有として、

 ポリタンク(飲料水用)×1

 電池式ランタン×1・小さい鍋・文具類・養生テープ・ビニールロープ・軍手・レインコート・ウェットティッシュ・ごみ袋・レジ袋・液体せっけん・アルコール消毒液


 ポリタンク(飲料水用)には水を入れ鉄棒を通して2人で担ぎ、水を消費する都度ポリタンク(飲料水用)から補充するようにする。

 さらに男は女性のペットボトル500ml1本を引き受けることになった。



「出発するぞ! 水は余裕を持って節約してくれ。ギリギリだと危ないからな」


「おう!」


「れっつご~!」






「行ったな」


「ああ……」


 外山はケガして既に治療の終えた右の太ももをさすりながら答えた。


「よかったのか? 物資まで渡して」


「敵対してる訳じゃないんだ。意見が違っただけでさ。

 また合流して共に生活する可能性もある。

 もちろんその時は今回消費した物資は彼らの負担としてきっちりカウントするが」


「実際のところ奴の予測をどう思う?

 昨日の襲撃で絡繰の予測が正しいのではと一部で不安に思う奴が出てきているが」


「きっちり守れば問題ないさ。

 さっき井口さん(若い職員)に頼んで女子に薙刀を教えてもらうことになったから戦える人数も増える」


 昨晩きっちり守れなかったからこの有様なんだろ。

 というセリフが喉元まで出かかったが伊藤は堪えた。

 もうリーダー変更はできないのだから外山へ嫌味を言っても今更である。

 せめて早川先輩が生きていれば……

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