第11話
「周囲の状況からここはどう見たって辺境だから馬車もあまり通らないだろうな」
「ギリギリまで粘ってみる?」
「丘の上で得られる情報はゲットできたんだ。これを確実に持ち帰る為にも無理はしたくない。
そうだな……
ここであと1時間観察してから帰ろう」
「絡繰の指示に従うぜ」
「了解しましたっ! ビシッ!」
「別に俺がリーダーでなくてもいいんだが……」
「おまえはもうそのポジションで決定しているんだ。諦めろ(笑)」
「そうだね。もうリーダーと言えば絡繰君という認識だよ!」
「全然嬉しくねぇ。
あぁそうだ。鳥とかいたら写真に撮ってくれ」
「わかったが……どうしてだ?」
「いや、昨夜の襲撃以外に動物見かけないのも少し気になっていてな」
「変な虫? はいたんだけどねぇ」
昨日の探索時も今日も丸っこい変な虫は見たんだ。
「あそこに見えるのが道、もしくは川としてだ。あそこまでは……」
体育館からここまでが2時間弱。
あの道まではここのまでの距離の……5倍~6倍って感じか?
「体育館から12時間~15時間ぐらいか?」
「森を抜ければ歩くペースは上がるんじゃないか?」
「そうだな。朝一に出て夜に着く……いや、実際は休憩しながら移動するから森抜けた辺りで野営だろうな」
「次は毛布と食料持っての移動になるのか」
「水もだよ。1日に2リットル飲む必要があるんだからね!」
「2泊3日の行程とすると水だけで6kgの荷物になるのか。消費する分だけ軽くなっていくとはいえ」
「初日の移動は辛いだろうな」
帰りの分の水が必要なかったら?
次で人里まで移動しきってしまえばいいのだ。
東の草原に見えたものが道や川かどうか賭けになるものの、それほど分の悪い賭けにはならないと思う。
どの道手掛かりがそこしかないということもある。
もしまた調査隊を出すようになると、全体での移動は最短で4日後。
転移初日の夜に襲われたことを考えれば4日後なんて無謀もいいとこだ。
だが全員での移動を提案したとしてどれだけの賛同を得られるか……
遺体は置いていくしかないし行方不明者の捜索も断念しなければならない。
そんな決断は無理だろうな。
「みんな聞いて欲しい。
俺は体育館に戻ったら今回の情報を元に人里目指して東への全員での移動を提案しようと思っている」
「えぇ!?」「オイオイ」「むぅ」「どういうことだ?」
「賭けにはなる。だけど物資や体力がある内に勝負したい。というか勝負に出ないとマズイと思う」
「1度草原のほうを探索して確実な情報を得てからではダメなの?」
「その探索隊が明日一番で出発するとして帰還するのは3日後の夕方、移動は最短で4日後の朝になる。それだと……」
「昨日のゴブリンの襲撃だな?」
「ああ。今日の夜間の様子次第ではあるが、初日にいきなり襲撃されたことと狼みたいなのを手懐けていることから奴らはある程度の集団を形成していてどこかに拠点を築いていると俺は睨んでいる。行方不明者の件もあるしな。
なのであくまで俺個人の意見なのだが……、探索隊の帰還を待たずに残った体育館組は壊滅。探索隊も帰って来た夜に全滅するというのが俺の立ててる予測だ」
「……」「……」「……」
「体育館組が勝てる可能性もあるんじゃないか?」
もう1人のほうの余田から聞かれる。
「俺の読み違いで昨日の襲撃部隊が最大戦力だったとかなら可能性あるのかもしれないな」
「今日の夜の相手の出方次第でそれがわかるのか」
「ある程度な」
「それで絡繰は何が言いたいんだ? 俺達に賛同して欲しいってことなのか?」
「俺的にはもちろん賛同して欲しいがそうじゃなくてだな、このことを夜に提案してその場では結論出ずに翌朝に持ち越す形になると思う。
だから俺の提案にその場で安易に賛同しないで1晩じっくり考えて結論を出して欲しい。自分の命が懸かっているのを忘れずにな」
「わかったよ!」
「了解した」
「う~ん」
「……」
結局1時間経っても何も変化無かったので体育館へ帰ることにした。
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===2round===
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『第2ラウンドの時間がやってまいりました!!』
「ワーワーワー」
「パチパチパチパチ」
『今回も出場者の死者数を予想して頂きます。今回の襲撃者はゴブリン22体と山狼3頭、そしてゴブリンリーダーがこれらを率います』
「前回襲撃の倍か」
「今回人数少ないのに大丈夫なのかしら?」
「いきなり増えたなー」
『オッズを発表する前に皆様にお知らせしないといけないことがあります。
今後人間や知能の高い魔物を操る際にこちらの指示に従わない可能性があります。
地球ではこのようなことはありませんでしたが、どうしても異世界である影響を受けてしまいこちらでは指示の精度が落ちてしまいます』
「出場者を襲わなくなるってことかな? その場合ラウンドはどうなるの?」
『襲撃者が出場者を襲わなかった場合はそのラウンドは中止となり、ベットしたpは返還されます』
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