長いナイフの夜 / みょうせい

追手門学院大学文芸同好会

第1話

「ルッツェ大将、突撃隊幹部は8日後に全員粛清する。これに対しての口外を禁ずる。」


 ヒトラー閣下からこの言葉を聞いた時、俺は正気なのかと疑った。

 なぜなら俺も所属している突撃隊は今こそ反ヒトラー閣下の言動をしているが元々は護衛を任されていた組織だ。その幹部全員を粛清するのはさすがにやりすぎだと思ったが、閣下の有無を言わさない目を見てただ「了解です。」としか言えなかった。


 家に帰った俺は本当に粛清する必要があるのかを考えた。確かに最近の突撃隊は危険だ、私自身が突撃隊トップの署名入りの武装蜂起の計画を提出した。そしてその武装蜂起の噂は国民にも広がっている。このことを考えれば速球に対処しなくてはいけないのも確かだ。

 だが今までの功績のことも考えれば過剰な措置ではないかとも思う。武装蜂起を知らいない幹部をいるだろう、実際俺は知らなかったように。

 そのようなことを考えるが結局は今まで一緒に働いてきた彼らに対して情を持っているからこんな考えているのかも知れない。普通に考えれば彼らは内乱を起こそうとしている犯罪者だ、そんな彼らは極刑を免れないそう考えるしかない。


 8日の内に覚悟を決め迎えた粛清の日、突撃隊幹部は閣下との面談を面目に全員突撃隊本部に集められた。そして日が沈み市民が寝静まる深夜、粛清のための作戦が決行された。

「ルッツェ大将案内を頼むよ。」

 本部の前に直々やってきた閣下と親衛隊を出迎え、幹部たちが寝静まる部屋へ案内する。最初は突撃隊のトップ、レーム幕僚長だ。気づかれないように慎重に部屋に近づく部屋の前に着く。

「ここが幕僚長の寝室です。」

 俺がそう伝えると閣下は深呼吸をすると勢いよくドアを開け中に入る。飛び起きた幕僚長はなぜ閣下がここにいるのか困惑しているようだ。

「裏切者、逮捕する。」

 閣下が無表情でそう宣言すると幕僚長は必死に「なんのことだ!、間違いだ!」などと必死に弁解するが閣下が親衛隊に拘束する命令をしたことにより大人しく拘束され連行された。幕僚長が連行されたこと後は他の幹部をそれぞれ分かれて拘束、連行していく。

「ルッツェ!何かの間違いだ!俺は何もしていない本当だ!」

 嘘をついていない真っすぐな目でそう言われた時、俺は本当に突撃隊が武装蜂起を計画していたのか分からなくなった。

「俺には何もできない……」

 必死に助けを求める同僚たちに対して言えることはこれだけだった。


 突撃隊幹部を全員拘束し後は処刑をするだけとなった。誰を処刑するのか最終決定される場で俺は閣下に意見を求められた。

「自分は誰が非難されるべきか、誰がレームの共犯なのか知りません。」

 そう言って俺は会議を出ていった。拘束せれていく彼らの目を見た時、俺は何が本当であるか何が嘘かが分からなくなった。ただ彼ら全員が処刑されることだけは理解できた。




後書き

 今回はナチスドイツの長いナイフの夜事件について書かせてもらいました。この事件は同じナチスで起こった虐殺事件です。作品ではヒトラーは最初から全員殺すつもりのように見えますが実際はレームだけは処刑しないつもりでした(最後には周りに説得されて処刑したのですが)。またこの事件は裁判なしで処刑していったのでヒトラーの独裁を強めていった事件の一つでもあります。浅い知識と乏しい文才で書いたのでおかしいところがあるかもしれませんがご容赦ください。

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