第13話 モブは天使に教えてもらう
◇◇◇
(えと〜……なんでラブリエルさんの声が聞こえるのでしょうか?)
俺は残念天使に問いかけた。
『ええ〜?? 何だか嬉しく無さそうですね?? そりゃ萌文様がレベルアップしたからですよ〜、レベルアップは数分間ほどラブちゃんと話せるラッピー(ラッキー&ハッピー)なおまけ付き!! 転生者なんですから、それくらいの特典はつけますってば〜』
ラブリエルはキャイキャイと何やら嬉しそうだ。それはそうか、思えば転生前から彼女は何かと俺を気にかけてくれていた。まあ、頭の方は多少残念感があるが、基本的にいいやつなんだとは思う。
(あ、そうなんですね。とりあえず、なんか少し安心しました。何ていうか、誰かと話せるとホッとしますね)
『でしょ〜? それが桃髪の美少女天使だったら尚更テンション上がるでしょ〜? ……あ、すみません。ちょっと一気に距離詰めすぎましたかね? だけど私の方もなんだか嬉しくって……』
ラブリエルがどうしてこうも嬉しそうなのかはわからないが、とはいえ創造主?と話ができるんだから、今のうちに聞けることは聞いておかねばならない。
(いえ、大丈夫です。ではラブリエルさん、確認ですが、俺はちゃんと龍種に……邪龍ウロボロスに転生できていますか?)
これで転生が失敗していて、俺がただの蛇だったら目も当てられない。最悪このまま自死を考えるレベルだ。
『ええ!? 大丈夫だと思いますよ!? そんなドジをやらかしてたら私が天使の座を剥奪されちゃいますよ! んと……ほら! 大丈夫じゃないですか!! ちゃんとステータス見ました??』
ラブリエルの声は少し上ずっていたが、どうやら間違いなく俺は邪龍ウロボロスとして転生を果たせているらしい。
(え〜と……ステータスの開き方がわかりません)
『っあ!! そうですよね。ちょっとコツが要りますもんね。んーと、ちょっとだけ魂に触れますね。ココです、ココに意識を集中させてステータスと心の中で唱えてみて下さい』
ラブリエルの声にあわせて、俺の意識の内に何かふわりとした感触があった。その感覚を忘れないようにしながら、俺は心の中でステータスと唱える。すると……
ポワン
目の前に、鑑定を使用した時と同じ様なウィンドウが現れた。
(おお……!!)
『そうです、それが萌文様の現在のステータスです。ほら、種族のところが龍種で、邪龍ウロボロスになっていることを確認できますよね??』
ラブリエルの言葉のとおり、ウィンドウには俺のステータスがしっかりと表示されている。内容はこんな感じだ。ズラーっと数字が並んでいる。
◇◇◇
種 族:龍種
邪龍ウロボロス
性 別:雌
名 前:──
状 態:普通
レベル:2(0/2000)
H P:1050(1050)
M P:1050(1050)
攻 撃:840
防 御:315
敏 捷:735
技 力:420
隠 密:630
魔 力:525
精神力:420
スキル:「蛇牙」「丸呑み」「鑑定.LV1」「ステルス.LV1」「空間認知.LV4」「温度感知.LV2」「???」
加 護:「天使ラブリエル」
◇◇◇
(んーと、これは……強いんですか?)
俺は目の前に表示されたステータスの数値を見つめつつ、ラブリエルに問いかける。
『ええと……。強いといえば十分強いかと?』
ラブリエルはふんわりとした答えを返してくる。
(じゃあ、俺の親龍のステータス値を参考までに教えて下さい)
『確か、攻撃力が54万くらいありましたかね〜〜』
(っえ!? それなんていう二の腕ピンクッ!?)
『いやー、でもお母様はレベルも物凄く高かったですから〜』
そうか、ではこれから頑張ってレベルを上げていけば、いつかは母龍までは届かなくても、その足元くらいまでは到達出来る……かもしれない。
(あ、じゃああのウサギは……)
『え、ウサギですか? それは鑑定でぇ〜。いや〜〜、まさか初期スキルで鑑定持ちとは流石にもってま……っと、あ!! 時間切れです!!』
(っはや!!)
『言ったじゃないですか〜、数分間だけ、先っちょだけですよ〜って。ではでは、次回のレベルアップまでお達者で〜〜』
そう言って、天使の声は消えていった。何が先っちょだけやねん。
ほとんど情報が聞き出せなかった。とは言え、ステータスが見られるようになったのは良かった。ラッピーってやつだ。これで一応、自分の強さを客観的に測れるようにはなったのだから。
あとは……
(鑑定か……)
ラブリエルがほんの先っちょだけ残した情報を読み解かねばならない。
◇◇◇
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