第326話 氷結の魔術師VS暴獣
「お、おいマオ!!何だか知らないけどそいつをぶっ倒すぞ!!一人で無茶をするなよ!!」
「先輩!?」
「ブモォッ……!!」
バルトは二階の窓からマオに注意を行い、急いで自分も地上に降りようとした。しかし、それを見たミノタウロスは斧を振りかざしてマオに襲い掛かった。
「ブモォオオオッ!!」
「うわっ!?」
「ぎゃああっ!?」
「こ、こっちに来るぅっ!!」
マオに目掛けて突っ込んだミノタウロスは彼が避けると、そのまま足を止めずに学生寮の中に突っ込む。壁を崩壊させてミノタウロスは中に入り込み、他の生徒達の悲鳴が響き渡る。
このままでは他の生徒に危険を及ぼすと察したマオは急いでミノタウロスを止めるため、三又の杖を振りかざして先日の火山で思いついた魔法を使用する。
「
「ブモォッ!?」
ゴーレムの腕を参考にして作り出した氷塊を作り出し、それをミノタウロスに目掛けて放つ。氷柱弾のような攻撃性能はないが、腕の形をした氷塊はミノタウロスの首元を掴んで押し込む。
如何にミノタウロスが怪力であろうとマオの作り出す氷塊は彼の意志で動かせる。マオはミノタウロスを押し込んで建物の反対側まで押し込む。
「うおおおっ!?」
「ッ……!?」
「わああっ!?」
「ひいっ!?」
「な、何だぁっ!?」
生徒達の部屋の壁を崩壊させながらもマオは学生寮の反対側までミノタウロスを押し込み、外に出ても構わずに押し込む。今は他の生徒達を守るためにミノタウロスを一刻も早く別の場所に追い込む必要があった。
(学生寮には戦い慣れていない一年生や二年生もいる!!巻き込まれたら大変だ!!)
学生寮の中には実戦経験が乏しい下級生が存在し、その彼等がミノタウロスに狙われるのを阻止するためにマオは一人危険を冒してミノタウロスを運び込む。やがてミノタウロスは学生寮から大分離れると、首元を掴んでいた氷腕を掴み取って驚異的な握力で握り潰す。
「フンッ!!」
「くっ!?」
いとも簡単に氷腕を破壊したミノタウロスを見てマオは足を止め、学生寮から大分離れた事を確認するとミノタウロスと向き合う。ここまでの攻防でミノタウロスに何度か魔法は当てているはずだが、全くと言っていいほど損傷を受けていない。
生身の生物でありながらゴーレムやガーゴイル以上の耐久力を誇り、赤毛熊が可愛く見える程の強敵だった。しかし、マオも学生寮の生徒達を気にしないで戦えるため、ここからは全力で挑む。
「
「ブモォッ!?」
三又の杖を杖を突き出して次々と氷塊を作り出し、それらを氷の鎖として繋ぎ合わせてミノタウロスに放つ。氷の鎖はミノタウロスの身体に巻き付かれ、全身を拘束するがミノタウロスは力を込めるだけで粉砕した。
「フゥンッ!!」
「くっ!?それなら……これならどうだ!!
マオは氷鎖を簡単に破壊したミノタウロスに対して巨大な氷塊を作り出し、それをゴーレムのように変化させて襲い掛からせる。それに対してミノタウロスは正面から斧を振りかざし、一撃で粉砕した。
「ブモォオオオッ!!」
「うわっ!?な、何て奴だ……!!」
氷巨人すらも戦斧の一撃で粉々に破壊したミノタウロスを見てマオは戦慄し、このままでは殺されると考えた彼は風属性の魔石を利用した攻撃を繰り出そうとした。しかし、その前にミノタウロスは彼に目掛けて斧を振りかざし、頭上から叩き込もうとする。
「ブモォオオオッ!!」
「くっ……ここだっ!!」
ミノタウロスが攻撃を仕掛ける瞬間、マオは杖先を向けて魔光を放つ。ブラクとの戦闘で利用した技術だが、青の閃光がミノタウロスの視界を封じた。
「ブギャッ!?」
「これならどうだ!!」
視界を封じられたミノタウロスは一瞬だけ動作が硬直し、その間にマオは三又の杖を至近距離に近付けて魔法を放つ。氷弾を作り出した後に風属性の魔力を生かして高速回転させ、とっておきの一撃を喰らわせる。
「
「ブフゥウウウッ!?」
強烈な氷塊の砲弾がミノタウロスの肉体に叩きつけられ、あまりの威力にミノタウロスの肉体が吹き飛ぶ。それを見たマオは冷や汗を流し、流石に魔力を使いすぎて膝をつく。
並の生物ならば肉体が貫通していただろうが、ミノタウロスの肉体は氷柱弾でさえも完全に貫く事はできなかった。しかし、それでも腹部に深々と氷柱が刺さり、致命傷を負ったのは間違いない。
(か、勝ったのか……!?)
マリアから教わった変換術でマオは魔力を回復させながらもミノタウロスの様子を伺い、ミノタウロスの様子を伺う。並の生物ならば絶命してもおかしくはない深手だが、ミノタウロスは目を見開いて立ち上がる。
「ブモォオオオッ!!」
「そ、そんな馬鹿なっ!?」
腹に氷柱弾が突き刺さった状態にも関わらずにミノタウロスは起き上がり、信じられない事に腹に刺さった氷柱弾を引き抜く。
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