ラストギグ

イデの導き


このカロリーの高い食料を差し入れてからの展開の早いこと。


俺は興奮している。


「見ろ!レイプだ!」


大声を出すと分銅と巻山は駆け寄ってきた。


二人は画面を見ながら興奮している。



「よし!撮影だ!」


三人は転がるように外に出て牢獄たる安普請に向かう。


鍵を開けライトを手に部屋に突入する。



まさに今!


琢が船津のうえでヘコヘコ腰を振っている。


青っちろい尻がぷるぷる揺れて滑稽だ。


「アハハ!馬鹿で貧乏人な田舎のガキが交尾してやがる!撮れ!撮れ!」


其処まで笑えない巻山と分銅だが俺が催促し不承不承近づいて撮影する。


船津はギイギイと大きな歯軋りみたいな叫びを上げながら身を捩る。


琢は船津を犯す為にむしゃぶりつくように腰の位置を調整する。



必死に這う船津。


ずるずるとナメクジの如く進む彼女に琢が腰を振り続ける。



俺達三人はその様子を笑い乍ら撮影する。


這う船津がなんとか琢を押しのけ上半身裸、



大きな乳房を揺らしながら狭い部屋を逃げ惑う。



琢は勃起したチンポ丸出しで船津を追う。


バケモノ同士のトムとジェリーだ。



下半身丸出し琢の背後に撮影隊が連なる。


船津が壁際に追い詰められ振り向いたとき手には何か棒状のもの。



それを琢の右目に突き立てる。


箸だ!


すごい!すごいぞ!

撮影しているがユーチューブに流せないのだけが悔やまれる。琢は右目を押さえながら静かに痙攣。


「アハハ!撮れたかよ!」


振り向きカメラを持つ巻山に話しかけていると背後から風圧。もちろん船津、手に持つのは箸。


突き立てられるは巻山の目。


その聖なる菜箸はダツンと奥まで刺さり糸の切れた操り人形の様に崩れ落ちる巻山。



テドリは驚きその場から離れようとするも落としたカメラが気になり拾おうとしたときはもう遅かった。



「ぶわあああああ!撮るなあああああ!」



船津に襲いかかられ一秒で馬乗り後は只管顔面を拳で打ち付けられ数発。


テドリは意識を失った。



分銅は失禁する。


テドリの顔が半分になっている。


分銅は足が竦んで動けない。


巨女の迫力ある拳の打ち下ろし。ドスンドスン。両手でリズミカルに殴られるテドリの顔はズ黒く半分に。



このままでは俺も殺されてしまう。



こんな片田舎で一生を終えるのは厭だ。



竦んだ足を拳で叩き萎えた気持ちを奮い立たせる。


動く!



そのまま分銅は外に走り出す。


逃げろ!俺!俺は死にたくない!



分銅が振り返ると其処には鬼の形相の船津。

あっと思ったらもう足を滑らせ斜面を滑り落ちる。


急ではないが長い斜面。



転がり落ちながら、この勾配、人間は死ぬのか、こんな片田舎でアホのユーチューバーと共倒れしなきゃならんとは。


諦め落ちながらも最後星空に助けを求めるように上を向く


すると崖上から岩石さながら巨大な船津も落ちてくる。


分銅は何かに引っかかって止まったが船津はそのまま転げ落ちていった。



「あああああああああああ」



野太い断末魔も遠ざかっていく。


分銅は斜面の少し平たいところで止まれた。






・・・助かったんだ。



安心した瞬間分銅は太ももに強い違和感を感じた。



刺さっている、太い竹が。



貫通している。



血が流れる。


寒い。



痛みが無い。

痺れみたいな感覚はある。



ピチャピチャ水音がするほどに血が流れ出ている。


あはは。


これプロゴルファー織部金治郎のキャラクターと同じ死に方だよな。


分銅は笑みを浮かべ、その数時間後に息絶えた。



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