すっとこどっこいズ
深い理由は無いが先に琢から閉じ込めることにする。
琢に今日ひとさらいを手伝ってやると連絡すると一分とたたず返信が。世の中は馬鹿ばかり。
早速、今日の実行となった。
巻山がどこからか手に入れてきた軽バンに俺と梶尾、そして琢が乗り込む。
その日は雨、車内のラジオが聞こえないほどの大きな雨音。
車内に男三人、琢が此処だと言った場所に停車し無言で前方を見詰めている。
「ここが團さんの帰り道です、ここで待ち伏せします」
たしかに琢が言うとおり人通りの少ない道だ。
だいたいが民家も少ない。これなら人に見られることも無さそうだしこの強い雨が証拠も流してしまうだろう。
まあ俺は捕まるようなヘマはしないが。
俺は久しぶりのワクワク感に包まれながら前をみている。
一番楽しみにしているのは俺かも知れない。
巻山の安い香水。琢の汗臭い体臭。狭い軽バンに充満し苛ついてきたころ琢が興奮した様子で叫ぶ。
「来ました!」
前方、雨にけぶる緩やかな右カーブの道。
そこから傘を差し制服を着た女子高生が二人歩いてきた。
遠くからでもわかる出っ歯。小さい顔に太いフレームの眼鏡。たぶん琢が言っていた團って女だ。
しかし隣にもうひとりいる。
でかい、兎に角でかい女だ。
團と並ぶと大袈裟ではなく本当に三倍くらい大きい。
巻山くらいあるということは身長190はある。
男の様な短髪にニキビ面だが女子の制服を着ているので女なんだろう。
「おい琢、あの巨女は誰だ」
「ああ、團と仲良しの船津って奴ですよ。ウドの大木でしょ、なんか頭も弱いらしいですよ」
琢はえへらえへらと卑屈に笑う。
「どうすんだよ、攫うのに邪魔だろうが。おまえがひとりって言ったからこの時間この道で待ってたんじゃねえか」
「いや、ふたり攫えば良くないっすか?3Pでもいいですよ、珍棒堪らんっすよ」
誰が攫うと思ってんだこのガキ。
俺の苛々をくみ取ったのか巻山が琢の頭をボコンと殴る。
「もう二人纏めて攫ってきます」
巻山はカッパを着てサッと車を降りて言った。
琢は車に乗ったままニヤニヤしていたので横っ面を張り。
「おまえも行くんだよ」
俺は琢凄んでるやる。
奴は不承不承車を降りていった。
俺は車の中から事の成り行きを見守る。
それは雨の中の凄い攻防だった。
巻山はまず團に向かって行き片手で首を絞める。
梶尾の大きい手が團の首をすっぽりと包み込み瞬く間に気絶させた。
其処までは良かったが次の巨女、船津が問題だった。この土砂降りの中でも山中に響き渡る怒号。
船津が吠える。
ニュージーランドのラガーマンのような鋭いタックルが巻山の横っ腹を穿つ。
巨体と巨体がぶつかり合い纏めて激しく吹き飛ぶ。
これは凄い!凄い見世物だ!
琢はというと雨の中気絶した團に馬乗りになり必死で胸を揉んでいるというキチガイっぷり。
それを見た船津、梶尾から離れ猿のように跳躍し琢の顔を引っ掻いた!
ぎゃあああ!
琢はもんどり打つ。
今度は巻山が起き上がり船津にタックル!
二人は立ち上がりがっぷり四つ。
激しいレスリングの応酬となる。
しかし時間が経つにつれ巻山のスタミナが勝ってくる。
最後は背後からのネックチョークにて船津を気絶させた。
息もつかせぬ攻防まさに天晴れ。
巻山は肩に團を、琢は両手で引き摺りながら船津を連れてくる。俺も合羽を着て車から降り女二人を車に押し込んだ。
巻山の息が上がっていたし琢の顔は痛々しくミミズ腫れになっていた。
そして二人を牢獄に改造した安普請に閉じ込めた。
其処には分銅が先に待っていて人数分の毛布や一週間分ていどの食料を搬入していている。
「ケケケ團のおパンティーは何色なんでせうな」
痛々しいみみず腫れはそのままに後で笑っていた琢を梶尾はむんずと掴むそのまま部屋に投げ入れる。気絶した女二人と共に。
琢が何か口を開こうとしたが俺達はさっと外に出てその鋼鉄の扉を閉めた。
中からは微かに男の叫び声がしていた。
俺達は別荘に戻る。
俺は中の様子が気になるので早速パソコンを立ち上げる。分銅も巻山も気になるのか分銅はミネラルウォーターを、梶尾は並々とウイスキーを入れたグラスを手に俺の後ろに陣取った。
最初の画面の中の映像は愉快だった。
琢が團にむしゃぶりつき必死で魔羅をこすりつけ何度も射精する映像は狂気が感じられ中々愉快だった。
それでついに團の下着を脱がせいよいよ挿入だという時に船津が目を覚まし、あの巻山に浴びせた鋭いタックルを琢にかまし馬乗りになり狂ったように顔面を殴られている。
そこで琢が完全に芋をひき行動を起こさないようになった。
そこから退屈な時間になる。
画面の中の三人はモソモソ食料を食べるだけ。一言も喋らずに過ごしだした。
俺達は飽きると同時にあのもう一人をこの中に入れれば何かが変わるかもと淡い期待を持った。
そして梶尾と巻山はあっさり原田を捕まえこの檻の中に入れることに成功した
さあ何か起きろよ。
テドリは頭をガリガリ搔いた。
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