勉強会②:冒険者編

基礎編

第一話:冒険者ギルド

「お待たせいたしました。どうぞ」

「ありがとうございます!」

「ありがとう、アンナ。さて、ミサキ。次は何の話をしようかしら?」

「あ。それじゃ皆さんのような冒険者について聞いていいですか?」

「良いわよ。まずそもそも冒険者って何かっていう所から話したほうがよいかしら?」

「はい!」

「冒険者っていうのは、色々なところを探検したり、依頼されたクエストを受領して、それを熟す事を生業とする人達の総称なのだけど。実の所、ちゃんと冒険者という職業として認められている人っていうのは限られているのよ」

「え? そうなんですか?」

「はい。冒険者には、冒険者ギルドに所属している正規冒険者と、そうでなく自ら冒険者を名乗り活動している、非正規冒険者が存在するのですよ」

「正規冒険者と、非正規冒険者、ですか……」

「ふふっ。不思議そうな顔をしているわね」

「あ、はい。何かわざわざ分かれてるのがちょっと気になっちゃって」

「確かにそう感じても仕方ないわね。とはいえ、そんなに難しい話じゃないわ。一言で言うなら、『冒険者ギルドに所属しているか否か』だけなのよ」

「冒険者ギルドにですか。でもそれなら、皆正規冒険者になれるって事ですか?」

「そう思うでしょ? でも、必ずしもそうではないのよ。まずはそこから話すわね」


───


「まず、冒険者ギルドっていうのは何かって話をしないと始まらないわね」

「確かにそうにございますね」

「名前からすると、冒険者が所属する組織って感じですか?」

「そうよ。正規冒険者の登録やクエストの斡旋。冒険者達のサポートなどを管轄する、世界各国で活動する組織。それが冒険者ギルドよ」

「世界各国でって事は、国毎に冒険者ギルドを抱えてる感じなんですか?」

「いえ、国の垣根などない一組織となっております」

「それって結構凄くないですか?」

「確かにここまでの組織は、この世界でも類を見ないわね。遥か昔にいにしえの勇者が魔王を倒した後、全ての国が共に平和であれるようにという、団結の意味も込め組織されたそうなのよ。その盟約が守られている由緒ある組織だからこそ許されているとも言えるわね」


───


「冒険者ギルドに所属すると正規冒険者になれるって言ってましたけど、どんなメリットがあるんですか?」

「一番大きな点としては、冒険者という身分を保証される、という事でしょうか?」

「身分を保証される、ですか?」

「アンナの言う通りよ。先程言った通り、冒険者ギルドは世界に認められた由緒ある組織。だからこそ、そこに所属できる正規冒険者というのは、それだけの信頼を各国や国民から得られるって事なの」

「うーん……それって、国に仕える騎士や貴族みたいなって事ですか?」

「そこまで高貴な扱いではないけれど、冒険者としてみたときにメリットが色々あるわね。例えば、国が依頼するクエストは冒険者ギルドにしか貼られないのだけど、逆を返せば冒険者ギルドに加入している正規冒険者でないと、そのクエストは受けられないの」

「他にも、冒険者ギルドへのクエスト掲載は厳密化されておりまして、あまりに理不尽な報酬、内容のクエストが貼りだされる事はございませんので、ランクに応じた適切なクエストを受けられる事も多くございますね」

「へー。だとしたら、皆こぞって冒険者ギルドに入りたがるんじゃないですか?」

「勿論そういう冒険者は多いわ。だけれど、冒険者ギルドに入っているという事は、同時にそれだけ窮屈になることもあるのよ」

「どういう事ですか?」

「例えば、冒険者ギルドの冒険者は、常にその行動を確認されております。依頼主や冒険中に何らかの悪評が立つような行動をすれば、ギルドでの評価が下がり、最悪ギルドを追放されるという事もございます」

「え? そんなに厳しいんですか?」

「勿論、行動記録も会話や映像のようなプライベートな物を取られるわけではないし、普段人として問題ない暮らし方をしていれば問題はないけれど。不法な行為や規律ない言動には本当に厳しいのよ」

「だからこそ、国や貴族を始めとした人々から信頼される存在でもあります。それだけ私達わたくしたちは冒険者ギルドに護られ、冒険者ギルドに助けられているとも言えるでしょうね」

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