第六話:その他の種族

「大まかにこの世界で暮らしている種族はこんなものかしら」

「例外としては、一応魔族もそうなるのでしょうか?」

「ああ、確かにそうね」

「魔族……何か禍々しい感じですね」

「そうね。まあこっちも色々と謎が多いのだけれど。伝承ではいにしえの魔王が生み出した種族と言われているわ」

「魔王がですか?」

「はい。自らの眷族とすべく生み出された存在で、魔王が滅びはしたものの、彼等は表の世界には顔を出さないものの、今もこの世界に存在しております」

「人類と敵対している感じなんですか?」

「残念ながらそうね。魔王の持つ闇の力を持っているからこそ、凶暴さも持っているし、人々を危険に晒す事も多いのよ。だから今でもダンジョンや人里のない場所に存在していて、時に私達の脅威となるわ」

「魔族って、実際どんな特徴があるんですか?」

「人種によって様々ね。ゴブリン。オーク。トロール。デスウィング。ミノタウロス。吸血鬼ヴァンプシー魔狼ワーウルフ。挙げたのは一例だけど、それこそ大小様々な特徴を持った人種がいるのよ」

「へー。やっぱり冒険者にとっても恐ろしい存在なんですか?」

「その辺の野生動物や幻獣、人為創生物シンセティカルよりよっぽど危険ね。だからこそ、出会った時には私達も気は抜けないわ」


───


「えっと……人為創生物シンセティカル、でしたっけ? そういったのは種族じゃないんですか?」

「はい。世界には自然に生まれた幻獣や野生動物。そして創生術により生み出された人為創生物シンセティカルは、この世界では種族とは呼ばれませんね」

「まあ幻獣なんかは野生動物と違い術を使ったり、特殊な能力を持っているけれど、大きな括りは動物に近いわ。人為創生物シンセティカルは人工的な物だからこれも違うわね」

「そういえば、たまにキュリアさんが精霊と話してる時ありますけど、あれも違うんですか?」

「ええ。精霊は独特な存在だけれど、扱いは幻獣寄りかしら。世界を構成するのに不可欠な不可思議な存在故に、幻獣とは区別して呼ばれるけれど」

「世界を構成する、ですか?」

「はい。例えば私達の生命も、精霊の恩恵が宿っているのです。これは種族を問わない生の力なのです」

「へー。風や炎とか以外にも色々精霊がいるんですね」

「そうね。でもその生まれも存在も、当たり前にあるけれど理由は分からないの。そういう意味で、未だに世界には多くの謎があるわ」

「何か凄いファンタジーな感じがしますね!」

「ふぁんたじい、にございますか?」

「あ、すいません。こういう世界を私達の世界だとそう表現するんです。幻想的っていうか、空想的っていうか」

「そういえば、あまりカズトもそっちの世界について話してくれないわね。今度ゆっくり聞かせてもらおうかしら」

「はい! 是非!」

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