第五話:亜神族

「さ、さて。気を取り直して。次は亜神族ね」

「は、はい! 亜神族っていうと、皆さんのパーティーだとルッテさんが該当しますよね?」

「そうね」

「でもルッテさんって、見た目はただの人間に見えますよね。何か特殊なんですか?」

「ええ。亜神族は神に近しいと言われる特殊な種族で、色々と謎も多い種族なのよ」

「よく言われる特徴としては、とにかく人数が少ない希少な種族ながら、とても長寿である事。そして龍を始めとした幻獣に姿を変えられる事でしょうか」

「え? じゃあルッテさんもドラゴンになれるんですか!?」

「多分ね」

「多分、ですか?」

「ええ。実は私やロミナ達も、ルッテが龍に変化する所を見た事がないのよ」

「へー。やっぱり目立っちゃうから避けてるんですか?」

「世間一般としてそんな話はよく聞くけれど、ダンジョンなんかでもそんな姿になった事はないわね」

「確かにわたくしも古龍術を使われる所しか見た事はございませんね。何か事情でもあるのでしょうか?」

「まああの子もかなり謎が多いのよ。とはいえ私達も話したくない事には触れないでここまで来たの。だから二人も触れずのいてあげて」

「はい」

「承知しました」


───


「そういえば長寿って言ってましたけど、どれ位長生きなんですか?」

「これも未知数ね。一説にはドラゴン同様、数千年生きられるとも言われているけれど……」

「ルッテ様は頭に亜神族特有の角がございませんので、亜神族の中でもお若いと思います。ですがそれを鑑みても、何処までの年齢かは分かりかねますね」

「じゃああの口調も素なんですか?」

「どうかしら? 母親であるディアは普通の口調だったし、元々人を揶揄うのが好きな子だから。ただ偉ぶってるだけかもしれないけど」

「因みに亜神族は亜神族のみが使える術があるのも特徴ですね」

「あのドラゴンを呼ぶ術とかですか?」

「ええ。古龍術はそのひとつね。私が知る限りだと、他にも龍武術なんていうのもあるけれど、どちらも亜神族特有の魔法ね」

「身体能力での特徴はあるんですか?」

「先程のお話にあったように、特定の幻獣に変化できる為か。その幻獣にある能力はあると伺った事はございますね」

「これも噂話の域を超えないのだけれど。例えば元がドラゴンであれば、その頑強さや腕力はある代わりに、身軽さは失われてると言われているわ。でも、ルッテはそこまで底を見せた事がないから正直分からないわね」

「……何かルッテさん。凄い人に思えてきました」

「……ミサキ。それ、本人の前で言っちゃダメよ」

「え? あ……はい……」

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