届かなかった思い

とある少年に思いが届かなかった少女の物語



ボーン、ボーン、時計塔の針が12時の時報を鳴らす。待ち合わせの時間は10時。彼との待ち合わせはもう2時間過ぎていて。『ねぇどうかした?』『2時間も待ってるんだよ?』こんなメールを送っているのに彼からの返信は一切来なくて。周りの人達はとても楽しそうに笑って歩いているのに私は惨めみたいに下を向く。



そんな時「ごめん待たせた」と待ち焦がれていた彼の声を聞いた。パッと顔をあげれば彼は別の女の子と一緒に歩いていて。まるで鈍器で頭を思い切り叩かれたような衝撃だった。私が「どうして……?」と呟いた言葉はそっと空に溶けていってもうキミには届かない。忘れてしまえれば楽なのにキミの事を簡単に諦められない私はピエロみたいで。『キミにとって私は遊びだったんだね……』そんな事を思いながら女の子と歩く君を見ていた。



私がこんな思いをしても世界は変わらずに回っていて。ほんの1秒呼吸を止めて冷静になろうとしても涙は止まらなくて。この関係を終わらせたくなくて。でももうこの関係は壊れていく。それがとても怖くて足がすくむんだ。



もうキミが振り向いてくれないのは分かっているから……この関係を終わらせなきゃいけないのも分かってる。でもやっぱり怖くて。「まるで私はピエロで……だからキミの思うままに操ってよ」なんて。キミから離れられないならいっそキミが思うままのピエロになってしまおうか。

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