第4話 戦闘開始

 鬼灯グランドホテル、屋上。


 赤い瞳をしており、白いワンピースを着た10歳ぐらいの少女、その少女がホテルの下を見ながら何かを話している。

「全員ホテル内に入ったみたいだね、しかも今回は全員普通の人間じゃないね、楽しくなりそう」


 そう言うと少女は嬉しそうにしている。


「最初は様子を見るとして、その後、誰から殺そうかな」


不適な笑みを浮かべ姿を消す少女。


 20人が鬼灯グランドホテルでの配置された場所。

1階、郷田秋道

2階、佐々木美智瑠

3階、ゴーストハンターズ

4階、村山総山を含めた4人。

5階、篠崎陵と立川隼人

6階、フロイドアーセン

7階、北原京一と北原恵利香

8階、二階堂蒼馬

9階、土御門孔明

10階、君嶋哲子を含めた4人。

地下には誰も配置されてはいないが、それぞれの担当の階にいる悪霊を掃討して、なおかつ余裕がある者が行くことになっている。


 ーーーー鬼灯グランドホテル1階ーーーー


 黒い特攻服を着た郷田秋道がホテルの受付であろう場所に腰を掛けながら煙草を吸っている。


「突入してから10分位か、全員配置についいてるだろうな早い奴らはもう始めてる頃か、それじゃあ俺もそろそろ始めるか」

 

 郷田の元に近付く者がいる、数は20体ほど、あっという間に郷田を取り囲むように郷田の逃げ場を塞いでいる。


「なんだお前ら、結構いるな、でも丁度良い、こんだけ数いりゃ手間が省けるぜ」


 吸っていた煙草を床に落として、足で消すと、木刀を振り回しながら、気合いを入れている。


「どこからでもかかってこいや!!」


 そう言うと郷田を取り囲っている悪霊たちが一斉に襲いかかる。


 郷田は木刀で悪霊たちを殴ると悪霊たちは吹き飛ばされる、木刀で殴られた悪霊は苦しみながら蒸発するように消えていく。


「どうだ俺様の木刀の味は、効くだろう、なんせこの木刀は神木しんぼくから作られた特別製だからな」


 神木は木や森をさし、神の依りよりしろ、神域、結界の意味なども指す木々。御神木とも称される。

 

 さらには霊を払う効果を持ち、悪霊たちには効果絶大である。


 郷田は次々と自身を囲んでいた悪霊たちをすべて倒し終わる。


「大したことなかったなこいつら、さっさとこの階を終わらせて地下に行くか」


 しばらく郷田はホテル内の悪霊を倒しながら歩き回ると突然郷田は動きを止める。


「おい!! 隠れてないで出て来いよ、てめぇの殺気が俺に突き刺さってんだよ」


 奥から西洋の甲冑を着た2mを超える悪霊が郷田の前に現れる、右手に剣、左手に盾を装備している。


「おいおい、そんな格好しやがって、ここは日本だぜ

、でもまあ、やっと面白くなってきたじゃねぇか、覚悟しろよ、ぶっ飛ばしてやるからよ!!」


 ーーーー鬼灯グランドホテル10階ーーーー

 突入から30分


 君嶋哲子、伊勢明正、田辺愛、近江泰然らが10階

を担当している。


 4人は宴会場であったであろう広い場所で戦闘を行っている。


 喪服姿の近江泰然が素手で悪霊をなぎ倒している。


「君嶋先生、こいつら全然大したこと無いですわ、ほんまにここが激戦区でっか」


「はい、今はまだ力の弱い者たちで我々の実力を計っているのでしょう、実際、他の階より霊気れいきが濃いです、なので我々はこのまま悪霊を退治していきましょう」


 ホテルの10階は、君嶋が事前に情報収集した中でも特に危険な場所であると判断し、自身がその場所を担当することを決めた。


 しばらく近江泰然が一人で悪霊を倒していると、突然辺り一帯がまるで夜が来たかのようにが暗くなり、周辺からただならぬ空気が立ち込める。


「ようやく向こうも本腰を上げてきたか」


 そう伊勢が喋ると、君嶋は目を閉じ集中している様子である。


 暗闇の中から次々と普通の悪霊では無いような醜悪な姿をした化物や妖怪に似た悪霊たちが次々と現れる、その数30体前後。


君嶋が目を開け伊勢たちに指示を出す。


「一体一体通常の悪霊たちとはレベルが違いますね、皆さんは下がっていてください、少しでも体力を温存していただきたい」


 君嶋が指示を出すと伊勢たちは君嶋の後ろに下がり君嶋を見つめている。


君嶋は着物の袖から数珠を一つ取り出し、悪霊たちにかざし、言葉を発する。


「人の道を反れ悪鬼が如く行う所業悔い改めなさい、悪霊退散!!」


 君嶋がそう言うと数珠強烈な光を放ち、悪霊たちに襲いかかる、悪霊たちは悲鳴を上げ消滅していく、そして30体前後の悪霊たちはすべてを倒すことに成功する。


 君嶋たちを覆っていた暗闇が晴れる。


 悪霊たちを倒すと光輝いていた数珠は粉々に砕け散った、君嶋が使った数珠は護り数珠と呼ばれる物で、君嶋が事前に力を注いだ代物で一度使うと壊れてしまう、使い捨てではあるものの、自身の体力を温存することが出来る。


「さすが先生です、あそこまでの護り数珠を作れるなんて尊敬します」


 田辺が嬉しそうに君嶋の事を誉める。


「田辺さん貴方も経験と修行を積めば必ず出来ますよ、あなたには私以上の才能がありますから」


 伊勢が喜ぶ田辺の肩に手を置き、田辺を落ち着かせる。


「先生あまり甘やかさないでください、確かに田辺には才能はありますが、先生以上の才能の持ち主はいないですよ」


「誉めてくださりありがとうございます、ですがお互いを誉めるのは、すべてが終わった時にしましょう、まだまだ敵は沢山います、まずはこの階を一刻も早く終わらせて、他の皆さんの元へ行きましょう」


 君嶋は歩き出し、伊勢たちは頷き君嶋の後ろをついていく。




 








 

 









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