第7話 聖堂のクエスト

普段通りギルド《オルトレール》の掲示板を見る僕、しかし1人だった最初の時とは今は違う。


「レピティ今日は何のクエスト受ける?」


 そう今は僕の仲間にこのレピティがいるのだった。


「そうですね、この魔石採取とかどうですか」


「魔石採取かなあ、面白そうだな」


 ギルドを入って数週間が経過、すっかりギルドの生活に慣れてきた僕は、レピティとの仲をより深めていた。


「うーん決めた! そしたらこの難易度Aランクの魔石採取クエストを受けてみるかな」


「了解しました! ご主人様なら余裕ですね」


「いやそこまでじゃないよ」


  すっかりご主人様呼びが定着してきたな。


「おいおいあれ、噂のグラスさんだぜ」


「グラスさんってお前、あのいきなり現れてギルドランクを一気に駆け上がってったていう大型新人術析師グラスか」


「しっ! こっちに来たぜ」


「あの、ちょっと頼みがあるんだけど……」


「グ、グラスさん! 大変無礼を致しました。直ぐに道をお開け致しますので」


「へ?」


「どうぞ、お進みください」


「いやあ僕はただ、クエスト同行を頼みたかっただけなんだけど、なんだ……」


冒険者2人は腰深々に頭を下げていて両脇に立っているのだが……。


 凄く言い出し辛い。




「――はあ、結局何も頼めなかったよ」


ギルドに入ってから色んな依頼をレピティとこなしてきた僕はすっかりギルドランクをFからAにまで上げていた。このペースは周囲の反応を見るに異常らしい。


別にこのままでもいいのだが、そろそろ新しい仲間が欲しいところだ。


「ご主人様に釣り合う奴なんてそうそういませんからね。中々同行者を探すのは難しいでしょう」


「いや別に釣り合うとかそういった部分は気にしてないんだけどさ、ほらそろそろ支援職の人とか欲しいよな」


 レピティが物理攻撃型で僕が一応遠距離アタッカーなわけだが、どうも回復手段に乏しい。


「ふむふむ、支援職をお探しかねグラス君」


「セイラさん! 何か宛てがあるんですか」


セイラさんとはあれからたくさん依頼のやり取りをして、すっかり僕はお得意様的なポジションになっていた。


しかし最近やたら僕に依頼の提案を出してくる気がする。


「あるんだなこれが、お得意様のグラス君だから教えてしまう情報だよ。見てこのクエスト」


依頼名  救援者求む

 依頼主  さすらいの聖女

 場所   トーラス聖堂  

 難易度  A

 依頼内容 闇を祓って欲しい

 報酬   私

 一言   助けてください!


報酬って、これはまたずいぶんわけありそうなクエストですね」


「そうでしょ、かなり珍しいクエストで私も最初見た時は驚いちゃった。でもグラス君の仲間が見つかるかもしれないよ」


「そうですね…よし決めたひとまずさっきの依頼は後回しで、こっちのやつを受けよう」


「そう来なくっちゃね!」


ふふふ中々みんな受けようとしない依頼だから困ってたけど、何とか消化できそう。流石グラス君ね。





【ババババンッ!(クエスト難易度A)トーラス聖堂の闇を祓え!】


「ふう、やっと着いた、ここがトーラス聖堂か」


凄い迫力だし豪華な外観、人は少ないみたいだな。


「こんにちは! 冒険者グラスさんですね。私はシスター・リルと申します。今回は依頼を受けていただきありがとうございました」


「どうも、えっとリルさんが今回の依頼主の方ですか」


「いいえ、現在依頼主の者は急用で席を外していますの。私が代理でクエストの説明をさせていただきます」


「そういう事でしたか、よろしくお願いします!」


「グラスさんにやってもらいたい事ですが、ズバリ我がトーラス聖堂に蔓延っている闇を祓ってもらいたいのです!」




 うーん、リルさん曰く聖堂の闇は日没に出現するみたいだが、それまで結構時間があるなあ。


「レピティは何かやりたいことがないか」


「そうですね、私はいつもご主人様についていきますが、しいて言うなら折角聖堂まで来たのですからお祈りをしてみたいですね」


「お祈りか、考えてもみなかったな……」


聖堂の少し外れに女神像を安置した場所があるとリルさんが言っていた。そこでお祈りしている参拝者が多いだとか。


「よし!じゃ行ってみるか」


そんなわけで早速女神像の安置場所に到着したけど、参拝者いなくないか。聖堂も過疎ってたしなんだかなあ。


「しかし凄い迫力だな」


「ですねえ」


 高さ10mは軽く超えそうなくらい巨大な女神の銅像、これは見事な迫力だ。いったいどんな神様が宿っているのだろうか。全く分からないけど形だけお祈りをするかな。


「じゃあ手を合わせて、目をつぶって祈りましょうか」


「分かった」


「ちょっと待ったああああああ!」


「っ!」


突然大声を出した現れた人物、背丈はかなり小さくて、長い白色の髪を靡かせている、正装を見に纏っている様子から聖堂の関係者のようだが……。


「お前ら女神様へ祈りをささげるなら、先ずは気持ちを込めないかい!」

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