第12話 在るはずのない世界
リーノア
「もう、こんなところでなに寝てるんですか。」
「いやぁ、空がきれいだなぁってさ。」
リーノア
「あははっ。
何言ってるんですか!
寝てたら何も見えませんよ!」
「そりゃあそうだな。」
リーノア
「私が作ったサンドウィッチ、美味しかったですか?」
「超美味しかったよ。
リーノアさんの作るものに美味しくないものなんてないよ。」
リーノア
「それは作った甲斐がありますね!
このレジャーシートも使ってくれてるんですね!
入れておいてよかったです!」
「ほんと、これがなかったら今から葉っぱでベッド作る予定だったんだよ。
危ない危ない。」
リーノア
「私、大活躍ですね!」
「そうだね。」
「・・・リーノアさんは、星座って知ってる?」
リーノア
「星座、ですか?
何ですかそれ?」
「・・・俺が生まれ育った所の、昔の時代を生きていた人たちが、この星空を見て連想ゲームをしたんだよ。」
リーノア
「連想ゲーム・・・?
それはなんですか?」
「例えばほら、あそこに青白い星が三つあるでしょ?
あの三つを線で結べば三角形になるから、~の三角形なんて言ったりするんだよ。」
「・・・ということは、何かに見立てて考える、みたいな感じですか?」
「そう!
さすがリーノアさん。
呑み込みが早い!」
リーノア
「いえーい!」
「・・・でも、こんなことは起きないだろう?
君には店がある。
寝床も誰にも言ってない。
どこへ向かっているのかも知らないはずだ。」
リーノア
「・・・」
「我ながら、たかが数日一緒にいただけの人によくこんなに未練を残せるよなって思うよ。
情けない話だなぁ、ほんと。」
「本当は君に会いたいさ。
もう一度君と話したい。
もう一度君の笑う顔が見たい。
もう一度その活力に満ちた声が聴きたい。」
「でも、そうならない方が君には良いだろ。
ほら、殺人者の泊っている宿なんか絶対行かないだろう?
俺と話せば悪い噂が立つかもしれない。
そうはなりたくないだろう?
だから、会わないで正解なんだよ。」
「これが自己肯定でもなんでも構わない。
でも今の俺にはそうするしかないんだよ。」
リーノア
「・・・そうですか。
この三日、本当に楽しかったです!
ご利用、ありがとうございました!
また一緒にご飯食べましょうね!」
「あぁ、そうしよう。
いつか。きっと。」
鳥のさえずりで目が覚めた。
目は腫れているものの、もうこれ以上は涙も残っていないだろう。
あっちの世界だと朝7時ぐらいって感じの明るさだ。
空は相も変わらず綺麗だ。
鮮やかな空に爽やかな風。
昨日の明日はやっぱり来た。
「よし!
今日も一日頑張ろう!」
あの人にはきっといつか会えるさ。
その時に恥じない自分で居たい。
そのために日々頑張ろうと思う
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