2章

第11話 思い出

女王

「それじゃあ、荷物も持ったしもう大丈夫かな?」


「そうだな。

さてと、とりあえず魔人の長の墓でも目指そうかな。」


時間はいくらでもある。


女王

「本当に行くんだ・・・。

その心意気だよ。」


「それじゃあ、またいつか会おう。」


女王

「おや、また会うことなんてあるかな。」


「女王じゃない方のお前に言ってんだよ。

そっちのお前の方が可愛げあるぞ。」


女王

「ふふっ。

まあ、そんな機会があるといいね。


それじゃあ、良い旅を。

君の旅路に、神のご加護があらんことを。」


「ありがとうよ。王女サマ。」


人殺しとは思えない捨て台詞を吐いて、再び森へ入っていった。


高速移動する気にはなれなかった。

たまにはこうやって自分の足で進むのも良いものだ。


たかが数日滞在しただけの国にこれだけの思いを寄せるなんて、旅人をするには少し苦労がかかるかもしれないな。

というか、あの王都で一つの国だったんだな。

てっきり首都かと思ってたや。



辺りも真っ暗だ。

あの国を出た時にはもうほとんど日は沈んでいたし、そりゃあこうなって当然だ。


とはいえ、少し疲れた。

辺りで寝れそうなところでも探そう。


軽く飛んでみる。

ちょっと行った先に草原があるなあ。

あそこで寝れば気持ち良いだろうな。


「よし、あそこに決まりだな。」


ザクザクと森の中を歩いて、草原に着いた。


「さてと、なんか食べて寝るか!」


・・・。

寝床ねーじゃん。

今から葉っぱ拾って作るか?

そんな気分じゃねえんだけどなぁ。


まぁ、食べながら探そう。


「えーっと、ご飯ご飯、、、」



あぁ...


ほんと、優しいが過ぎる


「リーノアさん、、忘れ物ですよっ、」



ピクニックは楽しかったなぁ


ほんと、穏やかな時間だった


俺はもう、あの時間は思い出にしたいんだよ


だから、こんなことしないでくれ



リュックには、あの時のレジャーシートや、水筒、サンドイッチまでもが入っていた。

すごいぐちゃっと入っている。


「あぁあぁ、サンドイッチの形変わるじゃんかよぉ、」


俺ごときにここまでしてくれる人だった。

本当にいい人だったなぁ。


「先に食べちゃおう。。」


レジャーシートを広げれば、寝る場所は確保できる。

動物に襲われたら痛いが、まぁそれも構わない。


食事を終えて、仰向けに寝っ転がった。


「すげぇ....」


夜空がきれいだ。

異世界の方が空は綺麗だな、と思った。


青く黒いキャンバス上の白、黄、赤、水色のまだら。


何故だろうか。


明日が来る


そう思った。

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