第5話 初陣

「完、全、復、活!

勝利の朝!」


リーノア

「そうですね!

ついに来たこの武道会の日!

ちゃんと私も見に行きますね!」


「そうなっちゃあ、かっこ悪いとこ見せらんないですねぇ!

ま、端から恥かくつもりなんて微塵もなんですけど。

ささっと終わらせてきます!」


リーノア

「はい!

ですので、まずは朝食を頂きましょうね!」




いろいろあって、今は武道会参加者の控え室。

舞台袖みたいなところに恐らく全員・・・集合している。

いろんなやつがいる。

明らかに何人か人を殺めてそうな目のやつとか、生まれてからずっとサバンナで育った、みたいなやつ。

みんな強そうだなぁ。

でもこれでも予選なんだよなぁ。


この中で十人・・・。

参加者はかなり多そうだ。さすがに100はいないか。

あぁ!

弱気になるな!

俺はできる!

この中の誰よりも、強い力を持ってる!


「・・・やるぞ!」


覚悟は決まった。

この武道会へかける思い、

それは「恩返し」。

成り行きだけで決まったこの武道会への参加。

この世界で何をしようかなんてまだ決まっていない。

この武道会だって、最初は勝つ気なんてなかった。

それでもここまで気持ちが昂るのはリーノアさんのせいだ。


いいさ。

やってやろう。

俺の強さを教えてやるよ。



案内係「では、エントリーナンバーが40番台の人はこちらに来てください。」


俺は、45番。

俺の初陣だ。

派手に行こうぜ!





ワァァァァァ


武道会って、きっと大きなところだろうと思っていたけどそれよりも大きい。

んー。

コロッセオみたいだなぁ。

というかそっくり。


ここで10人か・・・。





実況「それでは、予選ラウンド、はじめ!」


え、もう始まんの?

早くね。

ってか、武器とかなんも持ってねーけど大丈夫かなぁ。


いいや、弱気になるな!

戦いは始まってる。

集中しろ。

俺は強い。

この力なら勝てる。


「ふぅ。

行こうか。」


10人がフィールドに満遍なく散らばっている。

既にもう何組かはマッチアップしているようだ。

自分に近づいてくる奴はいない。

一旦は様子見といくか。


ドッガァァァン


ん?

雷・・・だと?

何だありゃ。魔法か?

俺の知る魔法の次元じゃねぇ。

確かに、周囲のマナはさっきに比べて消費されている。

発動者は雷の魔法を使っているのか・・・?


実況「43番、戦闘不能、脱落です!」


早速だなおい。

そういえば、空が厚い雲で覆われている。

来る前は雲一つない快晴だったのに。


「あれを食らうとマズいだろうな。」


空からの攻撃を防げるような屋根ありのところなんてこのフィールドには無い。

となると・・・

雷が来た時のために力の一部を足に集結させる。

空が光ってから雷が落ちるまでの間に回避する。



バキィ


ほらね、避けられたデショ。

いやぁでも、フィールドの土台の岩が砕ける威力って怖いねぇ。


おっと、二波が来た。

これ多分43の次に俺が狙われてるよな。


「・・・ん?どういうことだ?」


避けながら、考える。


恐らくだが、この雷はこの上空の雲があるから発動できるのだろう。

魔法は周囲のマナの力を借りるもの。

この雲があれば、雷を落とす魔法は使えるだろう。

しかし、だ。

この雲はどこから来た。

今日は快晴だ。雲一つない。

こんなにすぐ天気が変わるものなのか?

そうだとすれば、この雲が去るまで待てばいいが、

そうでないとすると、

・・・この攻撃が、終わらない!


となると、発動者を叩いた方が手っ取り早いか。

・・・誰だ。

この攻撃の発動者は誰だ。


あぁ、あいつか。

あのローブのやつ。

さっきからあいつだけ雷に対しての対応をしていない。

あいつを倒せば・・・。


力を足に込める。

ローブ野郎がこっちを振り向くより早くに仕留める。

初撃で終わらせる。

殺さない程度の力で、倒す。


何かが割れる音がした。

だが俺は、それを無視してさらに拳を突いた。

ドサッ・・・


直線的に突っ込んで、右手で一発。


会場はとても沸いている。



41番「な、何が起きた・・・」


47番「み、見えないなんてこと、あるのか・・・?」


フィールド上では、混乱が広がっていた。

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